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ネコミミライフ。

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―――夕食後。
二人で居間のソファに座り、がくぽはお気に入りの時代劇のDVDを見ていて、カイトは本を読んでいた。正確には、カイトは本を読む振りをしながら、隣のがくぽをちらちらと見ていた。

実はここ二週間、カイトはネコミミについてはかなり自重していた。
出来るだけ見ないように意識しないように。
だって見てるだけでニヤニヤしてきたり、思わずがくぽをぎゅっとしてネコミミを撫でたくなったり、さすがにそれでは変態だと自覚している。

でも、今日はマスターも居ないし、明日でネコミミ姿ともお別れだし、ぶっちゃけじっくり鑑賞したいと朝から密かに思っていたのだ。

カイトはそっと本を置いて、がくぽの横顔を見た。
ネコミミのせいかちょっと冷たい(口を開かなければ)女王様然とした顔立ちが、いつもより幼く見える。ネコミミといえば本当によく出来ていて、ふんわりした毛の内側は血管が透け、体温すら感じ取れそうだった。本物の猫の耳みたいに、時折音に反応してピクリとする。ぱた、ぱた、と一定間隔でソファをたたく尻尾の動きも、とてもリアルだ。

マスターに聞いたが、何でもネコミミの動きを制御するソフトを最初にインストールしたらしい。ネコミミにそこまでの熱意を傾けるとは、マスターの知人という開発者はどれ程ネコミミ好きなのか。いや、それとも世間の需要が有るが故なのだろうか?―――どうでもいいけど。

(ああ、やっぱり可愛いな)
眺めていると、自然顔がゆるむ。
黒い艶やかなベルベットは、撫でたらとても気持ち良さそうだ。

最後なら、ちょっとだけ。

「ね、ちょっと触ってみてもいいかなあ?」
言いながら、DVDに夢中ながくぽのネコミミにそろっと手を伸ばす。指が触れようかとする刹那。
「だっ、駄目でござる!絶対駄目でござる!!」
がくぽは大げさなくらい飛び退いて、ソファの端に移動した。

「!?」
いやまあ不埒な気持であったのは間違いないが、ここまで全力で拒否されるとは思っていなかった。
「がく……」
「すまぬが、拙者に触れないで頂けるか」
がくぽはカイトに背を向けてソファの隅に小さくなってしまった。
「!???」

思わずその場で凍りつく。
・…これはもしかして、昼間抱いた危惧は気のせいじゃないんだろうか?
すごい勢いで記憶データを遡り始めるも、やっぱり思い当たる節がない。

「あのさ、俺何かがくぽに嫌われるような事、したの?」
カイトの声はオロオロと半分涙声になっている。
「ち、違うでござる。決してそのような」
がくぽは慌てて否定するも、それきり俯いて黙ってしまった。

数分間その状態が続いて、カイトはゆっくりがくぽの方に身体を移動させた。相手はやっぱり黙ったままだが、今度は逃げるような素振りは見せない。
「一体どうしたの?ねえ」
頭を撫でようとして、手が、ネコミミに触れた。

「ひゃぅ……っ」

え?

びっくりして手をひっこめる。
何、今の。

がくぽの顔が赤い。

再びネコミミに触れてみる。
ゆっくり上下に何度も撫でてみた。
「んっ…く、……」
ええええ。何これ。何これ。
カイトの頭が混乱する。

身を竦ませてふるふると耐えている様は、まるでこれは。

これは俗に言う性感帯、みたいな?

導き出した結論に自ら失笑するも、がくぽの様子は。
「あ…ぅ…・んっ…」
目を閉じて眉根を寄せた切なげな表情。カイトの手の動きに合わせて洩れる吐息。
止め時を失っていると、震える手が弱々しくカイトの袖を掴んだ。
「ふ、触れないで欲しいと…」
「はわっ、ご、ごめんっ」
慌てて手を離す。
がくぽの目を伏せて息を整えている様がとても色っぽくて、見ているこちらの顔の方が動揺して赤くなってしまう。

とりあえず深呼吸で気持ちを落ち着かせ、出来るだけ冷静を装って聞いてみる。
「どういう事なの、これ。ネコミミ、おかしくない?」
最初は渋っていたがくぽだが、カイトに促されてぽつぽつと話し始めた。
「その、今まで何も異常はなかったんでござるが、三日ほど前から時折耳が何かに触れると、く、くすぐったいというか、変な心地がする事が」
どうも様子がおかしかったのはこの所為か。嫌われた訳ではなかったととりあえず少し安心する。

作品名:ネコミミライフ。 作家名:あお