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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第13Q 先輩の意地だよ

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直後、ボールがゴール下の日向先輩に回り、岩村主将と津川くんがDFで飛ぶ。そこで、レイアップ……と見せかけて重心を落として水戸部先輩にバウンドパスをした。そのまま、水戸部先輩が叩き込む。
一連の動作はしっかりと、乗っていた。
30―31である。
にしても、ダンクできたのね、先輩。
「さっきの話聞こえたが、まさか秀徳に勝つつもりとは……うちもなめられたものだな」
岩村主将が日向先輩に皮肉を投げる。先輩はそれを、
「ああ、あんなん建前っすよ」
と軽く返し、続ける。
「もう一つの理由が本音だけど、別に大したことないんで。まぁ、雪辱戦に一年に頼って勝っても、威張れないじゃないすか。――とどのつまり、」
先輩は正邦の軍団を睨む。
「先輩の意地だよ」
と添えて。

4-相田リコ
「先輩の意地、ねぇ……いいね~。好きだわ。そ~ゆ~の」
「先輩っても俺らと一つしか変わらねぇじゃん!」
「てめぇはマジ黙ってろ!」
「いってぇ!!」
「面白い……受けて立とう。来い!!」
「んじゃ、遠慮なく――行くぞ、誠凛!!!」
「「「おぅ!!!!」」」(水戸部は頷いた)
ゆっくりとコート内での熱は上がり、会場も声援が飛び交った。
そして、私の横では、神妙な顔の火神くんだ。って、
「なぁにを深刻な顔してんのよ。余計な心配してないで、声出しなさいよ」
私はグーで軽く崩してやった。ザマミロ。
「……ウス」
火神くんはしぶしぶ従う。
が、そこで、小金井くんがカットされ、正邦選手がレイアップを仕掛けた。
「もらった!」
ベンチで「ああっ!!」と動揺が走る。
それは日向くんが片手でブロックしたことで、むしろ「すげぇ!!」という声も上がった。
次に伊月くんがパスを回してゴール下で、水戸部くん対岩村くんだ。
水戸部くんはすぐにターンして、片腕で相手から体とボールを守る片手シュートのフックシュートを放った。
思わず歯噛みする岩村くんは呟く。
「フックシュート、か。去年はなかったな」
水戸部くんを見据え、重い口調ながらも言った。
「一年間、遊んでいたわけではないようだな」
それにこちらも力強く頷く水戸部くんだった。
会場も沸く中、「なんの~」と軽くて速いドライブで春日君がペネレイトして、
フッッ
ふわりと見たことのない柔らかいタッチで、離れた位置から放つレイアップ、スクープショットを披露した。
岩村くんが剛なら、春日くんが柔なタイプと言えよう。
そこへ、水戸部くんと小金井くんの連携で誠凛に2点が加算され、さらに会場を沸かせた。
「結構すごいっすね、先輩たち……」
「そんな失礼なこと言うと、日向主将にどやされるわよ、バカ神くん」
「あ゛……」
「いい、今のは忘れてあげるけど……黄瀬くんとの試合の時にも言ったでしょ。みんな、諦め悪いのよ。それに、アンタたちの攻撃力は目を見張るものがあったから即採用したけど、日向くんの3P、水戸部くんのフック、それを軸にチームOFで点を取るのが、私たちの去年の敗退から練習してきたやり口なんだから」
私が言うと、紺野さんがしみじみと「相当な練習をしてきたんですね」と言う。
本当に、その通りだった。
さて、ちょうど伊月くんがボールを持ち、「一本、ここ大事に行くぞ」とサッと視線を広げた。
少し間があってから、日向くんに回す。のはいいが、
ドンッ
「いっつ」
小金井くんと伊月くんをマークしていた正邦選手がぶつかり合う。
そして、ノーマークとなった伊月くんがレイアップを決めたのだった。
「うおぉぉ、決まった!」
「王者正邦に負けてねぇよ、誠凛!」
会場の声に紛れて、正邦選手が不安がる。
「右サイドで展開してたのに、逆サイドの敵をスクリーンに使いやがるだと……」
「今のは、上からででも見れないと、ってタイミングじゃね~かよ」
そう、
「伊月くんは見えるのよ。――鷹の目(イーグルアイ)を持っているからね」
「イーグルアイ?」
「彼は頭の中で支店を瞬時に変えられる。つまり、物をいろんな角度から見ることができる。だから、常にコート全体が見えるのよ」
「頭脳派ですね……」
「まぁ、万能ではないかもね。でも、みんな一つは特技を持ってる。しかも、それを一年間磨いてきたのよ」
遠くの方で「今のシュート、ナイスじゃないっすか?」「伊月、いますぐ交代するか、死ね」「死、って、えぇ?!」とギャグをかましているけど、聞こえない聞こえない。
一年くんたちはあんな彼らに気づかず、「じゃあ、小金井先輩や土田先輩も?!」と意気が上がっている。
「う、うん……」
グッドタイミングで小金井君が「うりゃぁあ!」とボールを放った。
「小金井君は、全範囲オールレンジからシュートが撃てるわ!」
とちょっとかっこよく決めてみたが、
ガゴンッ
案の定外したので、「けど、成功率はそこそこ」と付け足し、火神くんからは「けっこー普通じゃねぇ?!」と言われ、小金井君はショックを受けていた。
ちなみに、そのリバウンドを取った土田君はそれが得意である。略、と。

5-紺野舞
残り2分11秒。49-54。両チーム白熱したまま、試合は進み、誠凛ボール。
だが、土田先輩がファンブルしてしまい、ボールが跳ねた。
それがラインを越えようとしたところで、小金井先輩が「うおぉぉ!」と猛追し、弾いたものの、
「とぉ、はっ、んん?!んぎゃーーー!!!」
足をベンチに引っかけて倒れてしまったのだった。
「小金井くん!!大丈夫、」
と相田先輩が起こすも、目を回してたようで、
「じゃなぁあい!!」
叫ばれた。私も駆け寄り、レフェリーがタイムを止める。
そして、相田先輩は静かに言った。
「こりゃ、軽い脳震盪だろうけど、交代しかないかも」
それを聞いて、反射でバカ神くんが大声を出した。
「じゃあ、俺を出してくれ!……です!」
「何言ってるんだ、火神。お前はダメだ」
息の上がった日向先輩が言う。
「その元気、何のために取ってるか忘れたんか、ダァホ。ちゃんとケリ着けてくるから、待っとけ!」
「だからって、じっとなんてできねぇよ!!先輩たちの力に、」
「僕もそう思います」
二人の言い合いを、黒子くんは切った。
「まず、4ファウルの人はすっこんでてください」
って、べちってバカ神くんの顔を抑えながら。
それにやっぱりキレたバカ神くんが黒子くんの頭を握り、メキメキ言わせて、
「なんだと、黒子てめぇ、」
「出ても津川くんにファウルされたら、即退場じゃないですか」
「しねぇよ!ってか、俺はそれであいつに借りがあるんだよ!!」
と口答えをしていた。
それに、笑ってしまった。
「ちょっ、紺野さんまで暴走しないでよ?!」
「大丈夫です、相田先輩。ははっ、いや、バカ神はやっぱりバカで面白いな、と」
「てめぇ、喧嘩売ってるよな、そうだよな?!」
「まぁ、借りはわかるし、先輩の力になりたいのも分かる。だから、私にさせて。私はまだ、力になれてない」
「あぁ?!」
「それに、試したいことありますから」
日向先輩がちらりとスコアを見る。
4分51秒。点差は6点。
先輩はため息ついでに「じゃあ、一年同士で、津川頼むわ、紺野」と言ってくれた。
はい、と笑顔で上着を脱ぎ、ユニフォームだけになる。
そして津川くんに近づくと、