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はるちゃんの彼氏

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凛ちゃんの場合



遙が写真を見ている。
七瀬家の居間に凛はいた。
ふたりきりである。
遙が見ているのは小学生のころの写真三枚だ。
どの写真にも凛と遙が映っている。
遙は今と変わらない無表情だが、写真の中の凛は今と違って明るい笑顔である。
「このころのおまえは可愛かったのに……」
そうつぶやくと、遙はその瞳を凛のほうに向けた。
「ちょっと昔にもどって、この可愛いおまえを取りもどしてこい」
「んなこと、できるワケねぇだろ!」





理不尽なことを言われる系彼氏。













もうひとつ。



鮫柄学園で岩鳶高校水泳部との合同練習が行われる。
練習のまえに、遙が凛のほうへ近づいてきた。岩鳶高校の制服を着ている。
そして、凛のほうに無表情でなにか差しだした。
「昼に食え」
弁当である。
たぶん手作り弁当だろう。
「あ、ああ」
凛は弁当を受け取った。
すると、遙はさっさと踵を返し岩鳶高校水泳部員たちがいるほうへともどっていく。
「……凛先輩」
似鳥が寄ってきて、話しかけてきた。
「お弁当箱に入っていて、さらに布で包まれているのに、それでも中にサバが入っているのがわかりますね……」
微妙な表情をしている。
御子柴もやってきた。
「うらやましいのか、うらやましくないのか、よくわからんな!」
そう言って、豪快に笑った。





かなりのハイスペックなのに一切そういう扱いをされない彼氏。










作品名:はるちゃんの彼氏 作家名:hujio