はるちゃんの彼氏
まこはるちゃん
触れていたのはほんの一瞬だったようにも感じ、でも長かったようにも感じた。
放課後、遙は水泳部の部室にいた。
真琴とふたりきりである。
遙と真琴がこの部室に来たとき、一年生部員たちはもう練習に行ったあとだった。
ふりきりになり、しかし、その状況を遙はどうとも思っていなくて、一年生部員たちのように練習に行くつもりでいた。
だが、真琴がその手を遙の肩に置いてきた。
長身の真琴の顔を遙は見あげた。
それから。
初めてキスをした。
びっくりして、でも、たぶん驚いたせいだけではなく、心臓が強く打った。
そのあと抱きしめられて、今もその状態が継続中である。
「思い切って告白して良かった」
真琴が言う。
「今、幸せだから」
その顔は見えない。
けれども、嬉しそうに笑っているのだろうと感じる。
遙の口元が少しゆるんだ。頬に笑みが浮かぶ。
真琴が幸せならいいと思った。