時空省奇伝 次元と時を超える者たち
アイザック「どうした、鋼の錬金術師!そんなことでは俺は倒せんぞ。」
辺りには蒸気が立ち込め、熱気が悶々と漂ってくる。遠くには、水を凍らせたのであろうか、氷柱が立っている。
辻谷君は「まぁ、この通りだ」と返事をし、アルフォンスは呆れてため息をつく。
そんな二人をよそに私は、二人の戦いをただじっと見ていた、…というよりは観察していた。そして、漸く奴の『正体』が分かった。
アルフォンスは、私の様子に気づいたのか、私に話しかける。
アルフォンス「山本さん、一体どうしたんですか?」
山本「…いや、ちょっと考え事をしていただけさ。アルフォンス君。そして辻谷君。少し手伝ってはもらえないかな。」
私はすぐさま作戦の趣旨を二人に説明した。アルフォンスは、内容に驚きを隠せないの様子で声を荒げ始めた。
アルフォンス「いやっ、まさかそんなことが本当にあり得る筈が…」
言い切ろうとする寸前に辻谷君が口を挟んだ。
辻谷「普通なら、NOと答えるだろうな。しかし、これも現実だ。とにかく、今は俺たちを信じてもらえたら嬉しいが…」
最初は戸惑いを隠せなかった彼だが、彼は首を縦に振ってくれた。
アルフォンス「うん、今はお兄さん達二人を信じてみるよ。」
山本「ありがとう。我々としても助かる。では、『奴』の化けの皮を剥がしに行くとしよう!」
三人は、すぐさま作戦の準備を決行し始めた。
作品名:時空省奇伝 次元と時を超える者たち 作家名:T・岩本