時空省奇伝 次元と時を超える者たち
ゲマ「どうしました?」
慇懃無礼な態度でゲマは返す。エドワードはまだ頭を下げている。
エドワード「あんた、なんでこんなことをしたんだ?」
彼の声は怒りで震えている。しかし、ゲマは高らかに笑いながらこう返す。
ゲマ「オホホホホ。己の欲望のためですよ!」
ゲマは、このようなことを言って全く罪悪感を感じないのだろうか。いや、この男は『元々の世界』で悪逆非道を働いた男だ、そんなものは金輪際持ち合わせて等いない。
そのような調子で彼は話を続ける。
ゲマ「おっと、欲望というと語弊があるのかもしれませんね。私は自らの主のために、様々な者たちと連携して『崇高』な目標のためにやったことです。」
エドワードは、その言葉に怒り心頭になった。ついに、感情が噴き出す。
エドワード「崇高だと…、これのどこが崇高な理念だ!!あんたらみたいに人を踏みにじって好き放題やることのどこが崇高だ!!そいつを欲望っつうんだよこの野郎!!!」
そのままの怒りにまかせ、勢いでゲマにとびかかった。アルフォンスは兄を制止しようとするも、時すでに遅し、ゲマはエドワードに素早く対抗した。
エドワード「そんな貧弱じゃ、勝てないぜ!」
彼は素早く両手を合わせ、自分の機械鎧を鋭い刃物に錬成した。彼は、相手の懐に飛びこもうとしたが、相手も上手である。長いローブの下に、大鎌を仕込ませていたのだ。
見た目によらず、武器の扱いにも長けていたのだ。
私は現状を打破しようと術で対応しようとする。呪文を唱えたまではよかったが、ゲマは対策済みであった。
ゲマ「甘い。甘いですよ。」
何かが反射した音がすると、自分のかけた呪文が跳ね返ってきた。私はとっさによけたため、大事には至らなかった。
辻谷「もっさん!大丈夫か!」
山本「ああ、大丈夫だ、奴には魔術は効かないようだな。」
ゲマ「奥の手はかくしておいて正解でしたね。私の『マホカンタ』が効くということは、あなたも錬金術を使っていないということですね?」
その言葉に、エルリック兄弟は再び驚く。彼は今まで錬金術師と思っていた、いや、私がそう思い込ませるよう演技をしていたのだが、限界が来たようだ。
アルフォンス「じゃあ、やっぱりあなたたち二人は本当に…」
エドワードはまだ理解できていなかった。いや、そんなことがあり得るのかと思ってしまい、思考が停止したというのが正当だ。
作品名:時空省奇伝 次元と時を超える者たち 作家名:T・岩本