時空省奇伝 次元と時を超える者たち
その言葉を聞くなり、四人は「あっ、はいっ!手伝います!」と冷静さを取り戻し、軍の人たちの加勢に行く。
私は愛用の武器、『白閃』と呼ばれるライトサーベルを構える、と同時に、スコールも『ガンブレード』と呼ばれる銃の形をした特殊な
武器を構える。ホークアイ中尉は、エドワード達から情報を聞き、我々の背後で様々な細かい指示をアメストリス軍の人たちに出す。
しかし、敵も強すぎるといっていいほどだ。こうしている間にもバリケードを築いた軍百人相手に互角、いやそれ以上の強さを誇っている。
それを打ち倒すというのだ。だが、私には勝機はあった。先ほどの作戦の失敗をここで晴らすにはうってつけの相手である。
まず、先制は鋼の兄弟からである。
エドワード「おーい、ここまで気やがれ三本足野郎!」とキラーマシン一体に挑発を仕掛けた。キラーマシンは言葉に反応し、攻撃を仕掛けようと、三本足と
赤く光る眼をエドワードに向ける。だが、キラーマシンは弟のアルフォンスに気づいていなかった。アルフォンスは地面に向かって錬金術を仕掛ける。
すると、地面は手の形に変え、キラーマシンの足に絡みついた。こうなれば、動けないキラーマシーンを倒すのは容易い。
『白閃』、というよりライトサーベル型の武器は、25世紀末にも殆ど存在しない武器だ。しかも、切れ味は軽めの刀剣類よりはるかに良い。
流石にSF映画のようにレーザーは跳ね返せないが、チャンバラはできるので中々よい武器である。キラーマシンは火柱を上げ、金切声のような金属音を立て
真っ二つに切断された。残るは、残りの二体である。引き続き、エルリック兄弟と孫一は敵を引き付ける役を続けている、
次は、孫一と辻谷君の二人だ。こちらも、キラーマシンを相手にしている。交戦している辻谷君は、相手の出方を見つつここはあえて防戦に徹している。
二人は、敵が見せる一瞬の隙を見定めている。右手に刀を、左手にはボーガンを備え、赤い目を輝かせながら相手の目、喉、心臓を狙う殺人マシーンは
攻撃の手を緩めようとはしない。こちらが気を抜くと、一瞬で殺されることは間違いないだろう。
辻谷君は、示現流の誇りにかけて機械相手に負けるつもりは一切ない。激しい猛攻に耐えた彼は、敵と距離を開ける。その距離は、自身が持つ木刀の届く範囲内だ。
そして、いつになく真剣な彼は示現流『蜻蛉の構え』を取り、あろうことか、敵に話しかける。普通ならキラーマシンは一見隙だらけの彼を確実に殺そうとするだろう。
しかし、キラーマシンのプログラミングは彼の構えを読み取り、静寂を保つ。こちらが仕掛ければ、返り討ちになるとそう判断したのだ。
二人が狙った敵の隙というのは、まさにこの間合いだ。上手くいけば、キラーマシンを『二の太刀いらず』といわれる斬撃が飛ぶのだ。
作品名:時空省奇伝 次元と時を超える者たち 作家名:T・岩本