時空省奇伝 次元と時を超える者たち
元就「ん?どうしたのかな。もしかして、まだあれを引きずっているのかい?」
エドワードは気まず〜い感じで首を縦に振る。辻谷君とジュード、そして私もどういう事か瞬時に理解した。
辻谷「あの〜、もしかしたら『アレ』を見せてしまったのですか?」
室長は少ししょんぼりしたようで、
元就「トホホ、『見せてしまった』という言われ方をされたという事は、まだまだ私の歴史家という夢は遠いみたいだね…」
と残念そうにつぶやいた。室長は、歴史に関しては未来の世界でも屈指の知識をお持ちなのだが、文才は…犠牲になったのだ…といわんばかりの
レベルであることは言っておこう。みんなの前でレクチャーするときは問題ないのに、どうしてこう文才だけアレなのか。
心無しか、船形烏帽子{武士が正装で頭に着ける帽子。時代劇をよく見てみよう。}も落ち込んでいるようだ。
しかし、「おっと、こんなことを言っている場合ではなかった。」と自分で少し元気を取り戻す
元就「どうやら、ブラッドレイ大総統がお待ちかねらしい。私も一緒に行くから、用意しておいて欲しい。それと、ついてくるのは君と辻谷君だけだ。
分かったね?」
そう言うと、室長は病院までもどる。その室長を少し見たのち、エドワードが
エドワード「そういや、大総統に会うって話ホントか?」
私は「そうだよ」と返事を返す。ジュードは先ほど大総統をみたからどのような人物かはわかる。しかし、彼はエドにこのような質問をする
ジュード「ねえ、大総統って、一見するとすごく人のよさそうな人だよね。」
エドワード「あ…まあそうだな。でも、『油断の隙もない』って感じだろ?」
その言葉に、彼は「やっぱり、そういう人なんだ…」とつぶやく。彼は続けて
ジュード「兎に角、何事もないことが一番だね…おふたがたも気を付けて。」
と、あたかも何か起きそうなことを口にしたのち、泊まっているホテルへ帰る。エドとアルも病室へ戻ると、後は三人で大総統府へ向かう。
しばらくして、私たち三人は『大総統府』にむかう。日もだいぶ傾き、間もなく夜になろうとする頃合いであるが、大総統府は夜も忙しそうだ。
辻谷「流石は国の中心にある施設だけはある。」
元就「確かに、これだけ大きいとは思っていなかったね。それに、中々歴史的建造物としても素晴らしいと思うよ!」
とはしゃいでいる二人である。これでは、只の一般人だ。
そんな二人をよそに、大総統室がどこにあるのか、案内図を見つめ、二人を引きつれ向かった。
作品名:時空省奇伝 次元と時を超える者たち 作家名:T・岩本