時空省奇伝 次元と時を超える者たち
孫一「ん?それならもっと前に話してもよかったんじゃないのか。」
俺は首を横に振り、話を続けた。
辻谷「いえ、逆にこの季節のこの汽車のほうが人があまりいませんので都合がいいんですよ。未来だと盗聴の恐れがありますし、この時代ならまだ情報通信システムも
そんなに発達はしていませんので話が漏れることもないでしょうし。」
孫一は納得した表情で俺のほうを見た。彼は二、三度頷いて話を続けた
孫一「なるほど、確かに俺があんたらと待ち合わせたのは時空省とかいうとこの外だったからな。納得したぜ。んじゃ、真の目的とやらを見せてくんないかな。」
俺は、「わかりました。」と返事をし、自分のカバンから孫一さんにある書類を見せた。
孫一「おう、これが今回の真の目的というわけか。」
辻谷「はい。それは、あなたと同じ時代の…とはいうものの平行世界の人物ですが、この松永久秀を捕まえるためというのが真の目的です。」
俺がそういうと孫一は片手で顔を抑えていかにも厄介なことを引き受けたという表情をした。
孫一「へぇ、あいつ別の世界にも居やがるのか。面倒ぇ話だなそいつは。」
辻谷「確かに面倒な話です。しかもこっちのほうが、あなたの世界の人よりも厄介かもしれませんが、その分報酬は弾みます。」
そういうと俺は孫一に今回の仕事の成功報酬を見せた。さっきまでのめんどくさいと言わんばかりの表情から一転、額面を真剣に見て、「まぁ、悪くはねぇな」
と返事をしてくれた。
作品名:時空省奇伝 次元と時を超える者たち 作家名:T・岩本