時空省奇伝 次元と時を超える者たち
ここで再び私、山本に戻る。
私は鋼の錬金術師に会うために、私たちが乗っている車両より前の車両に移動をした。間違いなく、エドワード・エルリックとその弟、アルフォンスで間違いない。
弟のアルフォンスは大きな鎧姿なので彼を探すようにすればすぐに見つかった。
私は素知らぬ顔をして山本「もしかして、あなたは鋼の錬金術師さんでしょうか。」などとかるい挨拶をした。初めて会う人がどんな人か確認するためには、こうした方法が
一番だと私は考えているからだ。エドワードは、何やら本を読んでいる用である。
私が再び話しかけようとすると。
??「あっ、すみません。兄はいま本に集中しているので話しかけてもたぶん聞こえてないと思います。」
と、隣に座っている巨大な鎧を着た人が話しかけてきた。弟のアルフォンスである。大きな体をしている割には声が非常にかわいらしく、まだあどけなさを残した雰囲気である。
何故鎧を着ているかは後にでてくるのでここでは割愛しよう。確か、兄とは1歳違いであるはずなので、まだ14・5歳ということを考えれば妥当ともいえるが、何とも不思議な感じがするものだ。
兄のほうは集中しきっているから仕方ないと思い、私は弟君と話をするということにした。
山本「こりゃ失礼。この汽車にかのエルリック兄弟が乗っていると伺ったもんで、ちょっとお話でもと思いまして。」
アルフォンス「ぼくなら構いませんよ。良ければ向かい合っている席に座ってください。」
山本「それはありがたい。それでは、座らせていただきましょう。いやぁ〜しかしエルリック兄弟に会えるとは思っていませんでしたよ。」
このセリフ、一応嘘になるが、これも話のテクニックだ。ただし、折角だからというのは本当ではある。
私は、「もう少しでセントラルですね」という風に話を弟君に振ると、「そうですね、あと20分といったところでしょうか。」と返してくれた。
作品名:時空省奇伝 次元と時を超える者たち 作家名:T・岩本