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時空省奇伝 次元と時を超える者たち

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話がそれてしまったようだ。さて、私は勿論断ったよ、すると奴は。
仮面「そうか、断るというわけか。」と唸るような声で私を威圧したのだ。聞き分けのない輩だと思った私は念を入れてもう一度言ったよ。
大総統「断る。そもそも、もうこの国にそのようなものを持つ者は存在しておらん。無意味だ!」
仮面「そうか…、それなら良い。俺はもう去ることとしよう。だが、『厄災』はこれから起こる。用心するのだな…」
そう言い残し、奴はどこかへ消え去ってしまったよ。こうして長年生きていると、不思議なこともあるものだな。

━大総統「簡単にだが、このような感じだった。さて、質問したいことがあれば質問したまえ。」
大総統の過去語りはこれでひとまずは終わる。改まる大総統だが、室長は何か気になったことがあるらしい。いや、強いていうなれば三人とも気になる事はあった。
元就「少し気になる事があるんだけど構わないかな?確か、最初に『奥さんと劇に行く』とか言っていたけど、それは嘘じゃないかな?
話は聞いているよ、その日の夜はテロのことをお忍びで調べていたらしいからね。」
続けざまに辻谷君が反応する。
辻谷「実は、私も気になったことがあります。あなたのような人が仮面の男に気が付くのが遅れるとは到底思えないのです。」
そして、最後に私がすみませんと言いつつこう質問する。
山本「あなたの座っている仕事机の真下、カーペットに隠れてよくわかりませんが、よく見てみると床がへこんでいますよね?」
私は大総統に鋭く迫る。相手はこちらを見つめたまま動かない。私は話を続ける。
山本「そのへこみ方は実に一直線だ。実にきれいな切り口です。しかも、それは最近のものだ。すなわち、先ほどの話に合ったような
『腕が鈍っている』なんてことはありえないんですよ。大総統閣下、どうしてそのような嘘をおつきになったのですか?」
私は知っている。剣の達人しかできないであろう床にあるその切り口。それは、隠されている様子ではなく、わずかに見えるようになっている。
間違いない。彼は、我々の洞察力を試していたのだろう。現に、大総統の右手には、電灯の光で銀に輝く一筋の剣が握られていた。
…いやっ、もう振り下ろされている段階に入っている。時間は一瞬だ。しかし、私も負けてはいない。こちらも、『白閃』を瞬時に呼び寄せ、
青白く光る刃で剣を受け止めた。こちらを見つめる大総統の目つきは百戦錬磨猛獣、私の目つきは鋭い鷹である。