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時空省奇伝 次元と時を超える者たち

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言峰はこの男に少し興味がある。おそらく、あの時テレビに映りこんだ男はゲーニッツに違いない。普通なら、もしかするとテロを引き起こした危険人物に
恐怖を感じるだろう。しかし、彼は違った。むしろ、『愉悦』を感じていた。長椅子でゆったりする二人の男は、不思議と自然体でいる。
ゲーニッツ「さて、お話をする前に、実はもう一人『エンリコ・プッチ』というものがここにくる予定なのですが…どうやら、来たようですね。」
二人は後ろを振り返ると、もう一人の『聖職者』が何やらつぶやきながらこちらに向かって歩いてくる。
プッチ「…三ケタの素数は、『101 103 107 109  113 127… 素数だ、素数を数えろ、緊張するな。素数は孤独な数字。
そして、私に勇気を与えてくれる数字だ。」
変わった髪形をしているこの『エンリコ・プッチ』という男、彼は、アメリカに存在する『グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所 』で教誨師
という職業についている神父である。素数を数えるのは、彼の奇妙な癖だ。
言峰「ほう…あの男が君の紹介したい者かね?」
ゲーニッツ「ええ、その通り。かれが、プッチ神父。私がアメリカから連れてきた男だ。」
紹介されたプッチ神父は二人の近くまで来ると、自分の名前を名乗る
プッチ「私が、エンリコ・プッチだ。よろしく頼む。」
言峰「こちらこそ、よろしく頼む。それで、君たちの話を聞くのは構わないが、ここで話し合っても問題は無いのかね?良ければ、
教会の地下に来てはくれないか?」
ゲーニッツは了承する。ここは話し合いに不向きだ。そして、極力表沙汰になるようなことはしたくない内容だ。
そうして、三人は教会の地下に行く。地下といっても、それなりにきちんとした聖職者が住むにふさわしいような装飾がされてある
部屋に招待された。その部屋の中央にあるテーブルを挟んで、三人は互いに顔を合わせた。
ゲーニッツ「私が今日ここまで来たのは他でもない、君の力を貸してはもらえないか、という事だ。」
言峰綺礼は、思わず彼らの考えていることを想像する。それは、自分にとって、非常に『愉悦』をもたらすものではないか、そう考えてしまう。
ゲーニッツという男の顔を見ると、常人には憎悪としか思えないことを思いついてしまう。しかし、そうではないということはプッチ神父の言葉で否定される。