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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 13

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 カーストの下から数多の竹槍を発生させた。隙間なく竹に閉じ込められ、カーストは身動きできなくなった。数本の竹槍がカーストの体を掠めていた。
 カーストを動けなくした所でシンはとどめとばかりに詠唱した。
『爆浸の術!』
 大きな爆発がカーストを封じ込める竹ごと全てを吹き飛ばした。爆発の中、カーストの悲鳴が響き渡る。
 爆発が止むと、カーストは地に伏していた。そこへシンが一瞬で距離を詰める。
「分かったか、エナジーはただ闇雲に使うものじゃない。こうやってうまく繋げて使うものなんだ」
「何を…!」
「まあ、言ったところで無駄か。ではそろそろ終わりにしようか…!」
 シンは分身を作り出し、カーストを囲んだ。四方向を囲み、カーストの逃げ場をなくした。
『クリアオーラ』
 カーストは来る強力な攻撃に備え、回復した。
「なにをしても無駄だぜ!」
 シンとその分身は左手に持つ漆黒の刃を振り上げた。その瞬間烈風が吹き上げ、カーストは宙に打ち上げられた。
「四方…」
 打ち上げられたカーストが地に落ちる前に、シンと分身は共に交差しつつカーストを斬りつけた。
「…烈風刃!」
「ぁああああ…!」
 カーストは再び吹き飛ばされ、地面に落ちた。彼女が落ちるのとほぼ同時に彼女の武器もカラカラと音を立て転がった。
「カースト!」
「はっ、他人の心配してる場合か?」
 アガティオは前後をシンに塞がれた。
「む!?ぬん、は!」
 アガティオは前後に突きと蹴りを繰り出した。しかし、それらが当たった瞬間にシンの分身は影を潜めていく。
 自らの攻撃が虚空を打つだけに止まり、唖然としたアガティオへシンの刃が背後から首に突きつけられた。
「まあ、そう慌てるな。今すぐ貴様も地獄に送ってやるからな」
「ぐ、ほざけ!」
 アガティオは刃を振り払った。瞬間、シンは再び姿を消した。そして分身を一つ作り出し、アガティオの両隣に立ちはだかった。
 シンと分身は鏡のように左右対称にアガティオの両腕を取り自らの上腕をアガティオの肘に押し付けるようにして可動限界まで伸展させた。
「立ち業、肘砕き!」
 抱え込んだアガティオの腕を更に引き込み、パキリと高い音と共に上腕で肘の骨を折った。
「ぐぅお!」
 アガティオは一度に両腕を折られ、その場に膝を付いた。その隙を逃さず、すぐさまシンは手を離すと倒れ込もうとするアガティオの肋間に正拳を入れた。これにより肋骨も数本砕けた。
 尚もシンの攻撃は終わらない。口から血を出すアガティオの両肩を極めながら、シンは地を蹴り空高く飛び上がった。
『真…』
 シンは空中で上下転換し、アガティオの頭を地へ向けて物凄い速さで落下を始めた。その速度は真空波を放つほどだった。
『…イヅナ落とし!』
 シンは落下と同時に自らの分身を使い、大爆発を起こした。落下直前に地に残していた分身にエナジーをかけ爆発を起こし、アガティオをその中に巻き込んだのだ。
 分身と共に一瞬にして敵の両の腕を砕き、更に肋骨も砕いて動きを封じた所に更に肩の関節を極め全くの無抵抗とする。
 自らにかけた忍術により一気に空中へと飛び上がり音をも超える速さで落下し、爆発の中へと叩き込む。己が持つ体術と忍術の力を最大限に使って相手を粉微塵にできる威力を出せる。
 『真・イヅナ落とし』、まさに忍術を皆伝した者にのみ扱える最強の忍術であった。
 分身による幻惑からの必殺の一撃、これより上のない最強の忍術、これらをまともに受けた者はことごとく死に至らしめるに十分だった。
「ぐ…、うう…!」
「ごぉああ…」
 あれほどの攻撃を受けながらカースト達にはまだ息があった。さすがに忍術の全てを手にしたばかりのシンにはまだその力を完全に使いこなせてはいなかったか。しかし、例えそうであっても十分に相手を打ち倒す事ができるほどの力であった。
「ふん、しぶとい奴らだな…」
 シンはため息をついた。どうやら北の火の一族最強の名は強ち嘘でもなさそうだった。
 おもむろにシンは地に転がる黒い物体を拾い上げた。それはカーストの鎌に埋め込まれていた暗黒物質、ダークマターであった。
「さて…」
 シンはダークマターをしまい込み、手の中に真空の刃を作り出した。とどめを刺そうというのか。
 とどめと思われた刃はカースト達を貫かず、全くの別方向に飛ばされた。キンッ、と金属が壊れた音が鳴り響いた。
「ちょいとオレと話をしようか、白頭巾さんよ」
 先の戦いで実質上シンを救った白頭巾の剣士が、物陰から姿を露わにした。頭巾の留め具をシンに破壊され、剣士は頭巾を手で抑えている。
「オレから逃げようなんて思わないことだ。さあ、さっさとその頭巾取り払って正体現しな」
 白頭巾の奥から小さな笑い声があがった。
「さすが、あなたには適いませんね…」
 発せられた声は聞き慣れたものだった。
「っ!?その声、お前まさか!?」
「予想は大方あってますよ…」
 白頭巾の剣士は頭巾を脱ぎ捨てた。
     ※※※
 エナジーで発生した水でできたベールが、傷付き倒れた戦士を優しく包み込んでいる。きらきらと光が瞬く神秘的美しさ溢れるベールの中で戦いで負った深い傷がきれいに塞がれていく。
「ふう…」
 アレクスはエナジーを解除した。先ほどの水のベールに包まれていたおかげですっかり傷が治ったロビンが横たわっていた。
「これで大丈夫、しばらくすれば自然と目を覚ましましょう」
 ガルシアやピカードと違い、ロビンには体中に強い毒が回っていた。生き物が持つような毒と違って呪いによりもたらされた毒であった為、普通のエナジーでは解毒不可能であった。
 呪いの元を絶たなければ絶対に毒は消えることはなかった。しかし、つい先ほど、ロビンの毒は消え去ったのである。何故消えたのか理由は分からなかったが、ロビンの体力低下は激しく、急ぎ回復が必要な状態であった。
 早急にアレクスが回復に当たり、そしてロビンはようやく安定した状態となったのだった。
「アレクス…」
 アレクスは呼ばれ振り向いた。彼を呼んだのはメアリィである。
「みんなを助けてくれて、ありがとうございます」
 メアリィは深く礼をした。
「ふふ…、最初で最後の貴女の感謝の言葉、ありがたく頂いておきますよ」
 アレクスは微笑する。
「今回だけは礼を言っとくぜ」
 ぶっきらぼうながらもジェラルドも感謝の意を示した。
「ふふふ…、無駄に感謝されるのも、悪くないですね…」
 言うとアレクスは歩き出した。
「どこへ行くのですか?」
 メアリィは訊ねた。
「分かりませんか?殺気立った気配を感じるのです。恐らくシン達が争っているのでしょう。それを止めてまいります」
 アレクスはその場から去っていった。
     ※※※
 謎の剣士を包み込んでいた白い頭巾が、風に乗ってひらひらとゆっくりと地に舞い落ちていく。
 露わとなったのはつり上がり気味の眼、綺麗な純白の肌に、小さな鼻、そして艶やかな唇。
 その特徴的な目を見ればシンには彼女が誰であるか一瞬で分かる。しかし、彼の知るあの人物とは全く違う所があった。それは解かれ、風に揺れる背中までの白銀に輝く髪である。
「リョウカなのか…、お前…!?」