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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 13

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 このエナジーは『空駆け』とも彼は呼び、低空に浮く事ができるエナジーである。常に宙に浮き、滑空する事で機動力が格段に上がるのである。
「ジャスミン、少しスピード上げていくぞ!何だか嫌な胸騒ぎがするんだ」
 言うとシンは滑空を始めた。ただ一歩動き出しただけで既にシンはかなり遠くまで到達していた。
 慌ててジャスミンは『プロミネンス』を発動し、炎の翼を開き、彼の後を追った。
     ※※※
 あの異変の後、リョウカの苦しみはなくなり、姿も元に戻った。しかし、気を失っており目を覚ます気配が見られなかった。
 しばらく寝かせ、乱れていた呼吸を落ち着かせ、呼吸がすやすやという安らかな寝息に変わってから彼女を背負って先に進んだ。
 リョウカは連れて行かず、誰か一人付いていてやって、置いていくという考えもあったが、なにぶんそこは危険な場所であった。魔物に襲われ、灯台から真っ逆さまに落とされるような可能性も十分にあった。
 そこでロビンはもう少し先に進み、安全な部屋の中にリョウカを置く事にした。
 そして一行はそこへたどり着いた。
「よし、ここなら安全だろう」
 ロビンは言った。
「もう少しで灯台の一番上に着くだろう。多分、いやきっと、そこで張っていればガルシアはやってくる…」
 あの日死別したと思われていた旧友との邂逅が迫っている。
 思えばこれで二度目である。死別と思い込みながらも再び合間見える事が。
 前に会った時はサテュロスにメナーディという明確な敵が存在し、ガルシアはそういったものとしては見えなかった。
 しかし、今はもう彼自身の意思で灯台解放を目指している以上、サテュロス達のように敵である事は自明の事だった。
 つまりはどうなるか、ロビンには分かっている。この灯台にて彼に、ガルシアに会うことは戦う運命となる。避けられぬ道であった。
「ここから先はガルシアに会う事も考えられる。戦いは絶対に避けられないだろう。リョウカはここに残っていてもらおう」
 ロビンに従い、ジェラルドは背中のリョウカを下ろし、そっと寝かせた。
「けどロビン、さすがに病人を一人残してくのはまずくねえか?」
 ジェラルドが言う。しかし、ただでさえ戦う仲間が一人抜けた状態ではこの先苦戦する事になりかねない。ガルシア達とてここまでの道のりでさぞかし腕を上げた事だろう。
「気持ちは分かる。けど、オレ達全員ができるだけ力を合わせないとガルシア達と戦うのは難しいだろう。可哀想だけど、リョウカにはここで寝ててもらおう。大丈夫、ここにはもう魔物の気配はない」
 ロビンは自分のマフラーを外し、リョウカの首に巻き付けてやった。
「イワン、メアリィ。特にイワン、君達の力も当然必要になる。残ると言わずに一緒に来てくれ」
 二人は迷いを見せたが、すぐに承諾してくれた。
「よし、じゃあ行こう」
 ロビン達はリョウカを残し先へ進み、部屋の外へ出た。
『ローリング・フレイム!』
 突如、渦巻く炎がロビン達に襲いかかった。
「メアリィ!あぶねえ!」
「きゃあっ!」
 火の渦の中心はメアリィを向いており、とっさにジェラルドがメアリィを押した。炎から逃れる事はできたが、二人はそのまま下に落ちてしまった。
「ジェラルド、メアリィ!」
 ロビンとイワンは二人が落ちていった所へ駆け寄った。幸い、その下には足場があり、真っ逆さまに地上まで落ちる事はなかった。
 しかし、メアリィは足場へとうまく乗っているが、ジェラルドの方が縁に手を掛けたまま宙吊りの状態である。
「二人とも、大丈夫か!?」
 ロビンが叫んだ。
「私は大丈夫、けどジェラルドが…!」
 メアリィは苦痛の表情を浮かべるジェラルドを向いた。
「ジェラルド、あなたどうして片手でぶら下がっているの?」
「落ちた時に打ち所が悪かったみてぇでよ。しびれて少しも動かねえんだ…」
 どうやら肘を脱臼してしまったらしい。片手に自分の体重が全てかかり、そう長く保ちそうになかった。
 メアリィの細腕ではジェラルドほどの巨躯は持ち上げることもできなかった。
「今助ける、耐えてくれ!」
「ふん、そんな時間あると思ってんのかい!?」
 再び、今度は別の方向から女の声とともに炎が襲いかかってきた。
「く、誰だ!?」
 ロビンは身をかわした。
 視線の先にいたのは、ロビンへと手を向け、口元にさながら獲物を狙う獣のような猟奇的な笑みを浮かべた赤い髪の少女。
「待ってたよ。ロビン…!」
 少女はより恐ろしい笑みを見せた。
「お前は!?」
「ロビン!こっちにもいます!」
 イワンが叫び、ロビンが振り向くと再び炎の渦が襲いかかった。
『ローリング・フレイム!』
 かわしきれないとイワンは即座に判断し、防御壁を張った。
『ハイ・レジスト!』
 風の防御壁と炎の渦がぶつかり合った。
 灯台の力を得て普段よりも丈夫なはずのバリアにいとも簡単にヒビが入り、崩れ去ってしまった。
「うああああ!」
 ほとんど威力の殺がれていない炎がロビン達を包み込んだ。
 炎が消え去る頃、二人は地に伏していた。しかし、致命傷には至っていない。何とか二人ともまだ立ち上がることができた。
「ちょっと、もう少し手加減しな。ロビンはあたしの獲物だ」
「…安心しろ、急所は外しておいた」
 突然ロビン達の目の前に現れたのは男女二人組の敵だった。一人は赤い髪の少女、もう一人はかなりの巨躯の大男である。
 二人には共通する所があった。常人とは全く異なった肌の色である。それは、あの日戦った彼らと同じ。
「お前達は、まさか…!」
 ロビンはきっ、と二人組を睨む。
「お察しの通りよ。あたし達は北の火の一族、プロクスの戦士…」
 少女は名乗った。
「あたしはメナーディが妹、カースト!」
「そして俺はアガティオだ…」
「メナーディの妹、だと…!?」
「そう、あたしの姉さんの仇、ロビン!あんたにはここで死んでもらうよ!」
 カーストはメナーディのように空間から大鎌を出現させた。
 隣のアガティオは拳を握って構えた。どうやらカースト達のように武器は持たず、徒手拳法を修めているようだった。
「…相手はあのサテュロス達を倒した強者。まともにかかっては分が悪いと言うもの」
 アガティオは静かに言った。どこか寡黙な雰囲気のある男である。
「まさか二人も落ちてくれるとはねえ!うれしい誤算だったよ」
 対照的にカーストは大声であざ笑うように言う。
「まさかお前らオレ達を切り離す為に…」
 ロビンは怒りを露わにした。
「卑怯です!そんな姑息な手を使うなんて」
 イワンも怒鳴った。
「アハハ…!何とでも言いな。ロビン、あんたを殺すためならあたしゃ手は選ばないよ!」
 カーストはロビンへと鎌を向けた。
「俺も同志の仇、とらせてもらおう…」
 臨戦態勢となった。最早戦いは避けられない。
「ジェラルド達を助けなければ。イワン速攻で決めるぞ!」
 ロビンはガイアの剣を手にした。
「ええ、急ぎましょう!」
 イワンも菊一文字を抜きはなった。
「ふん、やる気になったようね。これで思う存分いたぶれるよ!」
「ほざけ!」
 ロビンの剣とカーストの鎌がぶつかり合った。