ULTRAMAN×STRIKE WITCHES
EPISODE01:異星獣-スペースビースト-
坂本美緒は、通信で確かに耳で聞いた。芳佳の悲鳴を。
何度も彼女の名前を呼ぶが一向に返事は返ってこない。ただごとではないと判断した美緒は、眠りに落ちた仲間たちを起こしに回り、事情を話した。
「何だと!?宮藤が!?」
「あぁ。さっきから呼びかけてはいるが、一向に返事が返ってこないんだ。それに、ノイズ音の激しさを聞くと、恐らくインカムは壊れているかもしれん……」
美緒は声を張り上げたゲルトルート・バルクホルンにそう言った。近くではリネット・ビショップが心配そうな表情をする。
「まさか、芳佳ちゃんはネウロイに……」
「レーダーは特に反応していなかった。だが、その可能性は高い。ミーナ」
「分かってるわ。これより宮藤さんの捜索及び救出に向かいます!」
『『『了解!!』』』
「エイラさんはサーニャさんの看病のために残ってちょうだい」
「了解」
501の隊長であるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケが隊員たちに指示を出す。エイラ・イルマタル・ユーティライネンには別の指示を出し、八人の魔女<ウィッチ>たちは、空を飛ぶ鋼鉄の箒『ストライカーユニット』を履き、使い魔を憑依し、耳と尻尾を生やす。そして各人武器の機関銃やライフルを手に取り、ロマーニャの夜空へと飛翔した。
・・・
「……ん。う、う~ん……」
芳佳は目を覚ます。彼女は基地から大体7キロ離れた場所にある小さな孤島に不時着していた。そして自身がなぜここにいるのかを思い出す。
「そうだ!私は確かあの赤い球とぶつかって、それから……それから……」
その先が思い出せなかった。自分はあの赤い球と衝突したあと、どうしたのか?最初は死んだのかと思ったが、空気や景色、身体の感触からしてそうではないと分かった。なら一体どうなったのか。芳佳が疑問に頭を悩ませている時だった。
「あれ…なんだろ……」
海が青く光ったりして点滅していた。最初はゆっくりだったが、徐々に点滅のスピードが上昇していった。
そして青く輝く光が広がり、辺りを照らし、光がおさまるとそこには……。
『ギャオオオオオオオオ!!』
怪異<ネウロイ>とは異なる異形が現れた…。
・・・
『ギャオオオオオオオオ!!』
突如現れた巨大な異形。怪しき未知の存在。その咆哮からするに、『獣』という言葉が似合っていた。
芳佳を探すウィッチたちは、その咆哮を耳にし、目をやった。
「な、なんだありゃ!?」
「ネウロイ!?なわけないよね…」
シャーロット・E・イェーガーとエーリカ・ハルトマンの二人が、その怪獣を見て、一目でネウロイではないと判断する。
『ギャオオオオ!!』
怪獣はウィッチたちを捉えると、口から青い光弾を発射した。
「うじゃあ!?」
「う、撃ってきましたわ!!」
フランチェスカ・ルッキーニとペリーヌ・クロステルマンの二人をはじめ、ウィッチ達は何とかその攻撃を避けた。
「話の通じる相手ではなさそうだな…」
「!!なら、まさかアイツが宮藤を…!?」
「確定はできないけど、可能性は高いわね…」
美緒、バルクホルン、ミーナの三人がそう言うと、怪獣はまた光弾で攻撃してきた。
これでミーナは決断した。アレは敵であると。
「各機、私の判断により、あの巨大生物は敵とします。まだ分からない部分も多いので、迂闊に動かずに攻撃を!」
『『『了解!!』』』
ミーナは七人に指示し、怪獣と戦う手段に出る。ロマーニャの夜空に、ストライカーのレシプロ音と銃弾が放たれる音が響く。
『グルアアアアアア!!』
「くそっ!これなら、どうだ!」
チームの中では一番の火力を誇るバルクホルンの攻撃も、怪獣はものともしなかった。
「なんて奴だ!こっちの攻撃が全然効いていない!」
「ネウロイみたくコアがあるわけでもないしな…まさしく、純粋な生物というわけか…」
「でも、どうしてこんな巨大な生き物が…?今までこんな生き物がいるなんて聞いたこともないですし……」
「リーネさん、考えるのは後よ。今はこの怪獣を追い払って、宮藤さんを探さないと……!!」
直後、怪獣から激しい攻撃が襲い掛かってきた。ばら撒かれるように放たれた青い光弾をウィッチ達はかわしていくが…
「きゃあっ!」
「リーネさん!?」
リーネのストライカーに光弾が掠る。右脚のユニットからは黒煙が上がっていた。
「リーネ!」
「きゃあああああ!!」
重力に従うかのように地面に落下していく。
(ああ…私死ぬんだ……親友と再会もできずに……)
死を予感し、覚悟したリーネだが、その時彼女は、巨大な何かによって受け止められた。
(え…?)
リーネは近くの孤島の砂浜にそっと置かれる。そして、上を見上げるとそこには……。
『……』
10メートルはあるであろう、銀色の巨人がいた……。
作品名:ULTRAMAN×STRIKE WITCHES 作家名:takaya103