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La Campanella

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「そうなれば、俺には行くあてがない」
銀時の眼を見すえて、言葉を続ける。
「だから、おまえのところに行ってもいいか?」
そう問いかけた。
銀時は眼を見張った。
驚いた。
ひどく驚いていた。
そのため、問いかけに対する答えが出てこない。
しばらくして、桂が口を開く。
「さっきおまえは仕事がないとか今よりひどくなるかも知れないだとか妙なことを言っていたが、俺はそんなことはどうでもいい」
どうでもいいんだ、と念を押した。
戦場を転々とし、仲間を失い続けたあのころのことを思えば、どうでもいいことなんだ、と。
そう桂は告げた。
嘘や偽りは一切感じられない表情で。
そして。
「銀時、答えをくれ」
返事を求めた。
一瞬の沈黙のあと、銀時は桂のほうに右腕を伸ばす。
「……いいのか?」
「貴様が貧乏なのは宿命だろうから仕方ない」
「そんな嫌な宿命負ってねーよ。じゃなくて、おまえの護衛がもうそろそろおまえのもどりが遅いの気にして様子見にきたりするんじゃねェ?」
頬に触れながら問う。
すると、桂は口角を少しあげて笑った。
「見られたって構わん」
「……へえ」
同じように銀時も笑う。
そして次の瞬間には距離を詰めた。
顔を近づけると、それに応じて桂もわずかに顔を動かした。
唇を重ねる。
ずっと触れたかった。確かめたかった温もり。
貪り合うようなくちづけをする。
だが、これ以上は止められなくなりそうでマズいと判断し、少し上半身を退く。
銀時の腕のなかで桂はため息をつくと身を寄せた。
しばらくそのままでじっとしていた。
けれど、ふいに桂が言う。
「……さっき貴様は金がないとかなんとか言っていたが、俺は政府からたっぷり退職金を取るつもりだ」
「マジで?」
桂が動いたので抱く力をゆるめると、桂は銀時の眼を見てニヤッと笑う。
「今のところまだ俺は政治家だからな。それぐらいあたりまえだろ?」
「……そいつァ、心強ェな」
銀時も桂の眼を見てニヤッと笑った。













作品名:La Campanella 作家名:hujio