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Wizard//Magica Infinity −9− 完

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・・・




ひたすら前へと歩く。
途中、後ろを振り向いたがそこには既にさやかちゃんの姿が無くなっていた。
これが、どういう意味なのかは考えるのをやめよう。

「………。」

不思議と疲労感は無い。
先程の戦いで受けた痛みも一切無い。
それどころか感覚があまりない。


「…あっ」


少しずつだが、目の前に何か球体のようなものが見えてきた。
それが気になり、俺は走り出す。

球体は大きくなっていく。

一体いくら走っただろうか。わからない。

球体は更に大きくなる。

球体を中心になにか黒いラインのようなものが回っている。


「…おぉ」


たどり着く。

この時気がついた。

球体は100m以上はある大きさだった。
上を向いても既に頂点が見えなくなっていた。


恐る恐る中へと入っていく。



眩い光が広がっていった。



少しずつ、目を開ける。




すると…目の前に…





見覚えのある少女の姿があった。






「まどか…ちゃん?」



「よくここまで辿り着いたね、ハルトくん」




まどかちゃん…だよな?

なんというか…魔法少女の姿な訳だがその一言で済ましてしまうというのであれば非情に惜しい。

まどかちゃんの今の姿はそれまでの魔法少女と違い、大きな翼を持ち、白と桃色を基調としたドレスにロングヘアのツーサイドアップへ変わっている。そして瞳は綺麗な金色。
今まであった幼さが一切無くなり、まるでその姿は神々しい…神、いや、女神のような姿だった。


「まどかちゃん、ここは一体?」

「ここはね…全ての力を使い果たした魔法少女達が訪れる安らぎの地…『円環の理』の中だよ」

「ここが…円環の理?」

「うん、ハルトくんもね、例外じゃないんだ。あなたは私達が過ごした世界で全ての力を使い果たし、魔女へと変わってしまった。だから私が迎えにきたの。魔女へと変わる前に、ここへ導いてあげたの」

「そっか…やっとわかったよ」


さやかちゃん。君も魔女になってしまう前に、ここにきたんだね。


「やっぱりまどかちゃんは凄いな。まさか俺が何年もかけてやってきたことをたった一瞬で叶えてしまったんだから」

「ふふっ!私一人の力じゃないよ?この理をつくるまで、色々な人達が教えてくれたんだから。もちろん、ハルトくんからもね」

「今の君には、全てがわかるの?」

「わかるよ。そしてやっとあなたと会えた。こうしてお話ができる。…ワルプルギスの夜」

「…っ!」

「大丈夫だよ?別に私はあなたを恨んでなんかいない。それにあなたは変わってくれた。自分自身を倒したのだから」

「てっきりお仕置きされるものかと…思ったよ」


俺はその場に座りこむ。立っているのが疲れた。
そのまま、俺はまどかちゃんの話しを聞き続けることにした。


「さっきも話したとおり、今の私には過去、現在、そして未来が見えるの。人の姿をしているけど、本当は世界の秩序みたいな存在だからね。えへへっ自分でもよくわからないや」

「つまり…今のまどかちゃんは神様ってことでしょ?」

「そうなのかな?…それでね。わかったことがあるんだ」

「何?」

「私達の生きてきた意味」




私達はインキュベーターに願いを捧げてそれの代価とした魔法少女となった。
だけど、魔法少女は魔女を倒し、その見返りとして現れるグリーフシードを使わなければ生きていけない存在。
だけど、それを望んでしまったのは誰?
そう…紛れもない『自分自身』

皆、キュウベぇを恨んだ。
もちろん、私だって何度も、どの世界でもキュウベぇを恨んだ。

でもそれは違う。
私達は、過去をいつまでも受け入れられなかったから魔女へと変わっていったの。
全ては自分自身の祈りの代価なの。

『等価交換』

この世界にはそんな言葉がある。

何かを願った分、それ相応の代価を払わなければ得ることができないって意味。

キュウベぇはそれを知っていた。
キュウベぇは人の持つ感情の力を感服していた。
言わなかったんじゃない。私達に気付いて欲しかったの。

自分達で気付いて、自分達の力で前へと進んで欲しかったの。


そして自分達の力で歩いた先に、本当の希望が存在するってことを、キュウベぇは魔法少女達に気付いて欲しかった。


そう…私達は、ただ現実を受け入れられなかった子供。
そして、受け入れられず大人になったのが魔女。


私は、全ての魔女を生まれる前に消し去りたいという願いを施した。
それはあくまで魔女へと変化するルールをちょっとだけ変えただけ。
いくら私でも全てを変えることはできなかった。

だからきっと…ルールが改変された世界でも魔女に変わる驚異は現れると思う。


「それでも俺達は、前へと歩く力を持ち合わせている。そして後の世代へ伝えていかなきゃいけない。人のもつ感情の強さを。その驚異に立ち向かった英雄の姿を」


そう。私達は前へと進むことが出来る力を持っている。

人は、失敗から学び、前へと進む強さを持っている。

人は、過去の出来事から立ち直り、未来に望む強さを持っている。



ねぇハルトくん。私達が望んだ希望って、明日だったんじゃないかな?