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yamatoⅢ 太陽制御の後で 2

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  「お疲れ様でした。」

係員は女性だった。ユキの荷物を持とうと手を出したが

  「大丈夫です。」

とユキが断ったが、

  「森さま、本日はお客様でらっしゃいますので…」

女性のにこやかな笑顔にユキは荷物を“すみません”と言いながら渡した。

  「こちらのお部屋になります…(ユキを入れた後)シャワー室はこちらで…
   その後ドレスをお選びいただきますのでシャワー終えたらこちらのボタンを
   押していただいて私どもをお呼びくださいませ。」

係員はそう言うと部屋を出て行った。




  「ふぅ…」

ユキはすぐに湯船にお湯をためてお風呂に入った。ヤマトの中ではシャワーのみ。ゆっくり肩まで浸かりたかった。お風呂につかると気持ちにゆるみが出たのか涙が溢れてきた。ユキは流れてくる涙を拭く事なくぼんやりと鏡に映る自分の姿を見つめていた。

今までも辛い戦いだった…

ユキの涙は救えなかった命の重さなのだろうか…ユキは自分の身体を抱きしめながら泣いた。









  「いけない…目が真っ赤だわ。」

お風呂から上がったユキは冷蔵庫に入ってるペットボトルを取り出してそれを水で濡らしたフェイスタオルに巻いて目に当てた。

  (気持ちいい…)

しばらく冷やした後係員の言葉を思い出したユキは係員を呼んだ。





  「お待たせいたしました。」

ユキはノックの音と共に扉を開けると係員の後ろに須藤悠輝が立っていた。

  「須藤さん、お久しぶりです。お元気でらっしゃいましたか?」

ユキが握手を求めると須藤も

  「えぇ、ヤマトのおかげで。さぁ、急ぎましょう。メイクさんも呼んでます。」

須藤の後ろにはメイクボックスを大事そうに抱えた女性が立っていてユキを見てお辞儀をした。

  「初めまして、木村と申します、よろしくお願いします。」

  「森ユキです、今日はよろしくお願いします。どうぞお入りください。」

ユキはバスローブ姿で出迎えていたので早く部屋の奥に入りたかった。





  「森さん、今日はどうしますか?」

須藤は数点、ドレスを持ってきていた。カラフルな色もあれば落ち着いた色もある…ユキは黒に近い緑のドレスに見入っていた。

  「こちら着てみますか?」

須藤はユキの視線の先を見てそのドレスを手に取った。ユキはそのドレスを受け取ると別の部屋に入って行った。数分してユキが出てきた。須藤と木村は思わずため息が漏れる。

  「よくお似合いですよ。」

深い緑のドレスは光の加減で光沢のある黒にも見えまるで今回の旅を象徴するような色だった。ドレスはシンプルだったがデコルテと背中が開いていて大人なドレスだった。

  「少し、開きすぎかしら?」(ユキ)
  「ご心配であればオーガンジーのショールをお付けしますよ。森さんとても
   スリムなのでとてもよくお似合いです。胸元のネックレスがとても映え
   ますよ。」

ユキの胸元には進から送られたイスカンダルのダイヤモンドが光り輝いている。須藤は少し詰められそうな部分をつまんで待ち針でつまんだ。

  「では…針に気を付けて一度脱いでいただけますか?直しちゃいますね。
   じゃぁ木村さん、直してる間に…お願いします。」(須藤)
  「はい…では森さん、バスローブに着替えていただけますか?」(木村)
  「わかりました。」

ユキは素直に再び隣の部屋に戻った。








  「よろしいでしょうか?」

木村がそっと部屋に入ってきた。

  「どうぞ、遅くなってしまってごめんなさい。お願いします。」

ユキが頭を下げる。ユキが着替えていたのはベッドルームで鏡台があったのでその前に座って待っていた。髪はすでに乾いていたのでブラッシングをして軽くアップにした。

  「とても襟足がきれいですね。デコルテをキレイに見せるためにもやはり
   アップするのがよろしいかと。」

木村はテキパキとユキの髪をまとめ軽く上げた。ドレスがシンプルなので飾りもブラックパールを思わせるイミテーションでまとめた。







  「須藤さん、用意できましたか?」

メイクのすんだ木村が須藤に声を掛けた。

  「できていますよ。」

須藤がユキと木村のいる部屋にドレスを持ってきた。プロのメイクを施したユキはとても美しく須藤も一瞬目を奪われた。

  「ありがとうございます。」

木村受け取るとそれをユキに渡し“着替えが終わったら声かけてください”と言って木村も部屋を出た。





作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 2 作家名:kei