yamatoⅢ 太陽制御の後で 2
「気さくな方ですが…」(ユキ)
「ははは…大丈夫だよ、ユキはずっと私の秘書だ。晶子が軍の仕事を続けると
言うのでヨコスカに出向させる。修業を積まないとダメだ。この仕事は
普通の仕事と違うし何よりVIPが絡んでくるからそれなりの人材で
ないとだめだ。」
藤堂は優しい目でユキを見た。
「私の秘書はユキでないと困るからな。」(藤堂)
「ありがとうございます。」(ユキ)
「しっかしセクシーだよなぁ~」
南部が少し離れた所からユキを見つめていた。
「本当、絶対誰か狙ってますよ。古代は?」(島)
「あのバカ、大統領と話してやがる…心配じゃないのか?ほら、一人ユキの
所にシャンパン持ってったやつがいるぞ。」(南部)
「うぁ~しつこそう…どうする?」(島)
「どうもこうも…」
南部が寄りかかってる壁を押して体を戻した時大統領と話してた進がすっとユキの方へ向かった。
「あいつ、大統領と話途中で…」
島は面白くて笑ってしまった。
「仕方ないな…」
クルーの後ろに立っていた真田が大統領の元へ向かい話を続けた。
「失礼?いつもの制服姿と違ってとてもセクシーです。」
ユキが振り返ると背の高い男がシャンパン片手に立っていた。
(大統領のご子息のマークだわ)
ユキの頭には各国のVIPの家族の名前も入っている。
「お父様とご一緒だったのですね?」
ユキが挨拶するとユキの右手を取り手袋の上からキスをした。
「はい、森さんがお戻りになると伺いました。ぜひお会いしたいと思い
トウキョウシティまで来てしまいました。」
やはりガイジン、思った事をストレートに言う。
(古代くんもこんな風にストレートだったらな)
ユキはそう思いながら心の中でため息をついた。
(このドレスみて何も言わないんですもの…)
「どうぞ。」
マークはユキにシャンパンを渡した。
「…ごめんなさい、私、長官と一緒の時はアルコール取らないようにして
いるので遠慮させていただきます。」
ユキがワインにも見えるようなグレープジュースを片手に言った。
「だけど今日は主役ですよね?」(マーク)
「いいえ、主役は私達ではないです…志半ばで散って逝った人たちを弔う
意味で…私はここにいます。」
ユキの瞳が大きく揺れる。マークは思わず抱きしめそうになった…その時
「何か彼女が?」
ユキの後ろから進の声がした。
「あ…」(マーク)
マークはその人物を確認した。
(古代 進…フィアンセ…)
「いえ…余りにも美しかったのでつい声を掛けてしまいました。
あなたは…」
スティが“古代進さんですね”と言おうと思った瞬間
「ユキのフィアンセの古代 進です。」
とはっきり言った。今まで面と向かって人に言った事がなかったのでユキは驚いて進の顔を見た。進はしっかりマークの顔を見て言った。
「古代くん…」
「失礼します。」
半ば強引にユキをマークの前から連れ出した。
「少し廊下に出て休もうか。」
進は笑っていた。さっきのマークに向けていた鋭い視線はどこにもなかった。
「ごめん…。」
進がユキの隣に座ってそうつぶやいた。
「…そのドレス……目立つんだ…他の男の視線が気になっちゃって…」
進がバツ悪そうに小さな声で言った。
「最初見たとき古代くん何も言わなかったじゃない。」
ユキはクスクス笑いながら言った。
「しょうがないだろ?南部は褒めちぎるし…島も…何言っても二番煎じ…」
すこしふてる様な言い方の進にユキの笑いは止まらない。
「きっと…その姿をあっちで見てるわ…みんな。そして古代くんらしい、って
思っているわよ。」
ユキは窓の外を見る
「また地下都市に戻ってきちゃったけど…すぐに出られるわ…」
進もユキにつられて窓の外を見た。
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 2 作家名:kei