yamatoⅢ 太陽制御の後で 2
「ユキ、着いたよ。」
タクシーに乗り込むとユキは疲れが出たのか眠ってしまった。
「あ…やだ、寝ちゃったわ。」(ユキ)
「疲れたよね…下りられる?」(進)
「大丈夫よ…ありがとうございました。」
ユキが運転手にお礼を言うと進も“ありがとうございました”と言ってタクシーを降りた。
「ドレス、汚れないかしら?」
ユキは裾を気にしながら三浦の地下都市の部屋に戻って来た。
「ただ今…。」
ユキが先にヒールを脱いで部屋に入った。
「出て行った時のままね。」(ユキ)
ユキがリビングのソファーに座ろうとした瞬間進に腕を引かれて抱きしめられた。その強さが尋常でなく苦しいほどだった。だけどユキは嬉しかった。地球に戻って来てからこの瞬間をずっと待っていたから…
「ユキ…」
進は名前を呼ぶと返事を待たずにユキの唇を自分の唇で塞いだ。
長く…息をすることも忘れそうなキス…
進はそのまま首筋に…鎖骨にキスをしたまま背中のファスナーを下した。
「古代くん…シャワー…ん…」
ユキのドレスは軽やかな音と共に床に落ちた。
「ユキ、シャワー浴びる?」
進はすでに起きていてユキの寝顔を眺めていた。
「うん…古代くん、いつ起きたの?起こしてくれればよかったのに。」
ユキが恥ずかしそうにブランケットを肩まで掛けた。
「いいじゃないか、じっくり見たかったんだ。ユキ、電気消してって言う
だろう?」
進はそう言うとブランケットを下げた。
「もう、ダメよ、寒いじゃない。風邪引いちゃうわ。」
ユキがブランケットを引っ張る。
「ほら、こうすれば暖かいだろ?」
進がユキを抱きしめる。
「うん、暖かい。」
ユキも素直に進の胸に体を預ける。
「地球なのね…」(ユキ)
「そうだよ、俺たちの地球だ。」(進)
「生きてるのね…私達。」(ユキ)
「そう…これからも…。」(進)
ユキの瞳から涙が落ちる…進の厚い胸板が濡れた。
「ユキ?」
進が声を掛ける
「幸せだな、って思ったら涙が出ちゃった…」
ユキの脳裏に土門の顔が過る。私を慕い進を敬い…将来どう成長するか楽しみだった弟のような存在だった…進も自分に似てるけど違う形で成長してほしいと楽しみにしていた人材だった…
「ユキ…愛してる……」
今まで進は口に出して言わなかった。ユキが驚いて進を見た。
「言わなくてもわかる、って思ってた…だけど言わないと後悔しそうで…
ユキを抱く時その気持ちをどう表現したらいいか…ちゃんと想いが伝わっ
ているのか不安になるんだ。俺は何があってもユキの所へ帰る。忘れないで
ほしい…俺にはユキしかいない事を…。」
「古代くん…」
ゆっくり、ゆっくりふたつの身体がひとつになった
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 2 作家名:kei