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yamatoⅢ 太陽制御の後で 3

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進は流れてくる涙を止められなかった。当時もう少し早く生まれていればよかった、と何度も思った事を思いだす。淡い想い出と共に当時の後悔と今ある幸せといろいろな想いが進の心をつかんで離さない…

全ては…ユキと出逢うため……



あの時水田がパイロットから砲手へ転向するよう進言がなかったら進はずっとパイロットで南部が戦闘班長だったかもしれない…そしたら島と火星の訓練も別だったと思うからユキと恋に落ちたのは自分じゃないかもしれない…


進は深呼吸をすると涙を拭いて“チーフありがとうございました”と言って新しいパスワードを掛け端末の表面上に見えない奥深い部分にしまった。











  「艦長、出航準備、整いました。」

輸送船団から連絡があり出航準備が整ったので時間通り地球へ向けて発進する事が決まった。進は輸送船団の団長、島と連絡を取った。

  「島行くぞ?」(進)
  <あぁ、頼むぞ>(島)

ふたりはニヤ、っと笑うと通信を切り輸送船団がイオを離れて行く様子が映し出された。全ての輸送船団が出航すると順次護衛艦が出航して行った。

  「艦長、地球より入電です。シークレットコードで入っておりますが?」

イオを出てすぐ相原から通信が入った。

  「わかった、艦長室に回してくれ。」

進はそう言うと艦長室に向かって歩き出した。






  <古代艦長、お忙しい所お時間いただきます。>

相原が敬礼したので進も敬礼で返す。

  <今、特別気になる事はない、と返事がありました。>

相原が納得いかない顔をしている。

  <ただ、真田さんが独自で調べると申しておりますので…少し時間が
   ほしいと言っていました。>(相原)
  「…了解。もう少し危機感を持ってほしいのだが…無理な注文か?」(進)
  <いえ…僕としては島くんを連れて大至急、戻って来てほしいんですけどね。
   フィアンセが待っていますから…安全航行でお願いしますよ。>(相原)
  「相原、一言余計だぞ?お前の方こそどうなってるんだ?」(進)
  <おっと…時間です。それでは航海の無事をお祈りしております。>

相原はそう言うとさっと敬礼して画面から消えて行った。

  「何が時間だよ…全く…自分の事は棚に上げて…しかし…何かが起きてる
   事は間違いないはずだ…」

進は島にメールで今の内容を伝えた。








  「静かねぇ…」

美樹はベッドの上でゴロゴロしていたが体が鈍ってしまうと思い射撃訓練室に向かった。しかしすでに先客がいた。モニターをみると100発100中…しかも一番レベルの高いクラスだった。

  「うそ…こんなのできる人いるの?」

美樹が身を乗り出して見ると訓練してる人がちらっと見えた。

  (古代進だ!)

美樹はモニターを見ながら嬉しさの余りボーっと立っていると突然後ろから肩を叩かれた。驚いて振り返ると少し息を切らした進が立っていた。

  「お待たせ…順番待ちだろう?いつもこの時間、誰も来ないから気付かな
   かったよ。」(進)
  「いえ…あの、その…いいです!」

美樹が訓練室を出ようとしたが進が腕をとって止めた。

  「パイロットだって射撃訓練するだろ?練習しとけ。」

進はそう言うと個室の扉の中に美樹を放り込むと扉を閉めてレベルを下げて訓練をスタートさせた。中の美樹も慌ててコスモガンを取り出した。




  「全然当たらないじゃないか。」

進がスコアーを見て驚いた。的中率75%…

  「林田、これじゃ白兵戦で確実に死ぬぞ?」

進は厳しい顔をして林田に向かって少し強い口調で言った。

  「構えてみろ。」(進)
  「…はい。」(美樹)
  「そんな風に教わったか?もっと腰を下げて…脇を閉めて…かなりぶれて
   るから的中しないんだ。まずはレベルを下げて両手で構えて撃ってみろ。」

進は美樹の後ろから手取り足取り構えから教えそのまま訓練をスタートさせた。




  「一番低いレベルなら100%当たるんだな。」

進は少し呆れ気味に言った。美樹は息を切らせて半分伸びている。

  「これじゃ実戦で使えないぞ?」(進)
  「パイロットもこんな訓練しなきゃだめですかぁ?」

美樹が叫ぶ。

  「当たり前だろ?」

進は白兵戦を何度も経験している。

  「ヤマトの乗組員ならこの中レベルぐらい誰でもできる。最初にやった
   レベルより高い。」

進はあきれていた。水田に似てる、と思って涙した自分はなんだったのだろうと思った。

  「明日また、見てやる。この時間に来なさい。」

進はそう言うと訓練室を出て行った。




作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 3 作家名:kei