yamatoⅢ 太陽制御の後で 3
美樹は自室に戻って来てもまだドキドキしていた。あの古代進が私の手を取り肩を触り腰を触り………進は気付いていないが婚約しているとはいえ人気が高かった。裏でキャーキャー言われているのに気付いていない。(鈍いので)
「うわぁ~同期に話したら羨ましがられるだろうなぁ~間近で見もても
めっちゃくちゃかっこいい…どうしよう…好きになっちゃいそう…」
美樹の脳裏にあの美しい長官秘書が浮かぶ。
「そうよね、あの方がお相手よね…本当、キレイな人…」
自然とため息が出た。
翌朝美樹が食堂に行くと隅で進が朝食を食べていた。美樹はラッキーと思い食事のトレイを持つと進の元へ行こうとした…が進の手元には端末があり仕事をしながら食べていたのをみて立ち止まってしまった。
「林田。」
進は美樹の視線を感じて端末を見ながら声を掛けた。
「おはようございます。昨日はありがとうございました。」
美樹がお礼を言うと
「ここに座りな。…食事の前にこれを見て…」
進は美樹に隣に座るように言うと端末を見せた。それは射撃訓練の結果だった誰もが100%を維持している。
「この欄…3人…誰だと思う?」(進)
美樹はレベルを見た。
「え…これ、レベル高いです…戦闘班の方ですか?」(美樹)
「いや、生活班員だよ。」
進の返事に美樹が固まる
「…これぐらい出来て当然なんだ。100%じゃダメなんだ…何事も120%の
力でやらないと実戦で100%の力を出す事は出来ない。実戦で100%の力を
出せない…=死、だからな。戦闘機のりだからと言って基礎をしっかり
しておかないとイザと言う時身を守れないぞ。」
進はここまで一気に話すと
「悪いな、上司じゃないのに…意地悪で言ってるわけじゃないんだ。犠牲を
出したくない、それだけなんだ。食事の前にこんな話で…ゆくり食事して
くれな。」
進はそう言うと端末を閉じて席を立った。
「…あの…!」
美樹が進の背中に向かって声を掛けた。進が振り向くと美樹が進の眼を見た。
「今日も…行っていいですか?」(美樹)
「…いいよ。コスモガン、カスタマイズしておけ。」
進はそう返事をすると食堂を出て行った。
(きゃぁ~古代進に個人レッスンしてもらえる!)
美樹は嬉しくなって急いで食事を終わらせると自室に戻ってコスモガンの手入れをしていた。ただしばらく使っていなかったので使いにくい代物になっていた。
(やばぃ…きっと何も手入れしてない、って気付いたのよね…)
美樹は自室を出ると工作班が詰めている部屋へ向かった。
(確か…同期がいたはず…)
部屋をノックして入ると数人、工作班の人間がいた。
「すみません、こちらに…」
美樹が名前を出そうとしたら
「林田じゃないか。どうしたんだ?」
後ろから声を掛けられた。
「久しぶり…元気だった?中野君。」(美樹)
「おぅ、元気だよ…ってどうしてお前が乗ってるの?」(中野)
「イオにいたんだけど月に配置換え…一度地球へ戻ってそれから月に行くの。」
美樹は笑顔で答える。
「…で、どうしてここに?」(中野)
「ちょっとコスモガン、見てほしいな、って思って…自室で整備して知らない
間に安全装置解除されてて…なんてことになったら大変だから工作班の
人にお願いしようと思って…」
美樹はそう言いながらコスモガンを見せた。中野はそのコスモガンを手に取ると一瞬眉間にしわが入った。
「…わかる?」(美樹)
「お前、これいつから整備してない?」(中野)
「………」(美樹)
「一度もやった事ないだろ…全く…戦闘班とは思えないな。使うだけ使って
エネルギーチャージのみ…だな。これじゃ的中率も悪いだろう。機械で
自動生産されるコスモガンは微調整しないと的にちゃんと当たらない。
クセを見抜いてこそ…だぜ?3時間で何とかしてやる。」(中野)
(3時間なら今日の夜の射撃訓練に間に合うわ)
「よかった!お願いします!」
美樹はそう言うと中野に敬礼した。
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 3 作家名:kei