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yamatoⅢ 太陽制御の後で 4

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ふたりがホテルの部屋で話をしていると部屋の電話が鳴った。進がユキの顔を確認して電話に出た。

  「…古代です。」
  <古代、私だ。ユキは大丈夫か?>

相手は藤堂だった。恐らく大統領から連絡が入ったのだろう、音声だけの電話だったがかなり慌てた様子だった。

  「はい、今は落ち着いています。」(進)
  <大統領から今、連絡があって…そちらに行ってもいいか?>

そばに大統領がいるのだろう、通常なら通信機を使うところだが通信機は全ての通話が一度録音されてしまう…

  「ユキ、長官が来たい、って…いいか?」

進がユキに聞くと小さくうなずいた。

  「長官、お待ちしております。」(進)
  <すまんな。>

電話は切れた。





15分ほどして部屋をノックする音が聞こえた。一瞬ユキが不安そうな顔をしたが進が“大丈夫だよ”と言って立ち上がり扉まで出迎えに出た。進が扉を開けると藤堂の後ろに大統領が立っていた。

  「お待ちしておりました…どうぞ。」

進が部屋に入るように勧めるとふたりは

  「失礼する。」

と言って入った。ユキはソファーに座っていたが進が藤堂と大統領と一緒に入って来たので立ち上がったが“いや、すわったままで…”と藤堂が言ったのでユキはそのままソファーに座った。ユキの隣に進が座り向かい合って藤堂が座った。

  「申し訳なかった。」

大統領が立ったまま深く頭を下げた。

  「日本の警察から連絡をもらって…本当に申し訳ない…何と言ったらいい
   ものか…」(大統領)

進はユキの手をしっかり握っている。

  「マークにはしっかり罪を償わさせます。わがまま息子で…さんざん手を
   焼いて来たが…なんでも思い通りになると信じていたようで…同じ男と
   しても絶対に許せない事だ。本当にどう謝ったらいいのか…。」

今まで堂々とした大統領しか見た事がなかったのでその“父親”としての姿に進は驚いた。

  「妻と相談して…マークはこのまま日本で罪を償わせる事にした。私は今
   すぐに辞任したいと言ったが…妻が“マークは大人だからあなたが責任とる
   事で済ませるのではなくすべて自分で責任を取らせないとダメ”と言って…
   私自身…どうしたら森さんに許してもらえるか…」

ユキは下を向き体を固くしたまま大統領の言葉を聞いていた。

  「そして古代さん、あなたにも申し訳ない…大切な方を傷つけてしまった。
   あなたも同じように傷ついているでしょう。」

大統領は進に向かいそう言った。

  「私があなたなら…相手を殺してしまうかもしれない…ただあなたは理性が
   ある…だからあの程度で済んだ…。あなたの拳はあなたを想う気持ちの
   現れだと思います。」

大統領は床に手をついて“申し訳ない”と謝った。

  「大統領、座ってください。すみませんが大統領が謝ってもどうしようも
   ない事だと思います。」

進が大統領をソファーに座らせていった。

  「彼の挑戦的な行動を数回受けました。その度に万一のことを考えました。
   ユキが大統領邸へ行く時、大統領が日本へ来る時など息子さんをユキの
   近くに寄れないよう充分に注意を払ってください。先日、ヤマトが帰還
   した時と落成式典の時…ユキに手を出すなと忠告しました。息子さんは
   それを守らなかった…」

進の言葉に大統領は肩を落とした。
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 4 作家名:kei