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yamatoⅢ 太陽制御の後で 4

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進は驚いて離れようとしたが美樹が全体重を預けてきたまま倒れたのでそのまま床に押し倒されるような状態になった。

  「二番目でいいんです…古代艦長が好きなんです。」

美樹は進の耳元でささやくように言った。進は我に返り美樹を振り払った。

  「林田、キミは何をしたのかわかっているのか?」

進が冷たい視線で美樹を見つめる…が美樹はそれに気付かない。

  「私、古代艦長にずっと憧れていました。チャンスだと思ったんです。
   古代艦長の艦に乗れることになった時…最初で最後のチャンスだって…
   古代艦長を見て自分の気持ちわかりました。私、憧れじゃなくて“好き”
   なんだ、って…。だから自分の気持ちを伝えるタイミングを探してたんです。
   だけど…怒らせちゃった…けど艦長は私の事見捨ててなかった…嫌いだっ
   たらこんな私の事、見てくれたりしない、って…そうでしょう?私の事、
   好きになったからレコードもチェックしてくれてたんでしょ?」

美樹は舞い上がっていた。

  「大丈夫です、誰にもばれないように秘密にしますから!」

両手の指を絡ませた腕を胸の前で組み…少女のような笑顔だった。
進は立ち上がると美樹に背を向けて訓練室を出てこうとした。

  「艦長?」

美樹はやっと進の顔色に気付いた。

  「残念だよ。」

それだけを言うと訓練室を出て行った。





  「ウソだろ?」

翌日美樹は中野に訓練室の話をした。

  「バカ、艦長に何言ってんだよ?」(中野)
  「でも…ダメって言わなかったわ」(美樹)
  「とにかく…他の人に絶対言うな…部屋に入って…通信もメールも禁止だ!」

中野は進の機嫌が悪い原因が美樹だと気付いた。中野は美樹を自室に向かわせるとそのまま艦長室へ向かった。



  「中野です」

中野は艦長室の扉をノックして部屋の中に入った。

  「すみません!」

中野は部屋に入るなり土下座をした。進は突然の事で驚いたが美樹の事だと思いすぐに中野を立たせた。

  「中野が悪いわけではないだろ?私も油断してしまったんだ。相手は女性…
   まさか女性から仕掛けてくるとは思わなかったんだ。」

進は苦笑いをした。

  「しかし、この調子でペラペラしゃべられたら困るな。」

進が本当に困った顔をした。女性の“秘密にします”は心底信用できない、と思った。

  「林田は?」(進)
  「今、自室に戻らせました。」(中野)
  「そうか…はっきり言わなかった俺も悪いが…最初から相手にしていなかった
   んだけどな…何も言わなくてもわかる、って思うのはやっぱり一部の連中
   だけなのかな。」

進の言葉を聞いて中野はヤマトのクルーの事だと思った。

  「古代艦長…」(中野)
  「まぁいい…黙ってほしいと言うとこっちが悪いみたいだからな…俺は
   男だからそんな噂が出ても大丈夫だが…林田の方がダメージ受ける…それが
   わかっているだろうか…」

進はため息をついた。

  「もうすぐ地球だろ?中野も持ち場に戻りたまえ…私も下に戻る。」

進が中野に言うと敬礼して部屋を出て行った。



  (これがユキの耳に入ったら…先に話しておこうか。)

進は通信班が先ほど計算した到着予定時刻をユキの端末に送り相談したい事がある、と一言入れて送信した。

作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 4 作家名:kei