yamatoⅢ 太陽制御の後で 4
「ようこそお越しくださいました。」
ユキが藤堂の横で優雅に挨拶をする。大統領は満足そうだ。隣には息子がしっかり立っている。
「ユキさん、今日も美しく…お休みと伺っておりましたが父がわがままで
すみません。」
大統領のわがままでない事はユキも百も承知だ。
「いえ…」
ユキは笑顔で返す。
「お食事はなさいましたか?」(マーク)
「はい。」
ユキは営業用スマイルで答える。ユキは藤堂の左横、一歩下がったところから動こうとしない。
「藤堂長官、秘書殿をお借りしてもよろしいでしょうか?」
マークが藤堂に直接交渉に出た。藤堂は顔に出さずとも“やはり”と思った。
「いや、申し訳ない。彼女には通訳をしてもらわなくてはいけないので…
秘書が来るから、と通訳を断ってしまったので…英語圏内なら私も大丈夫
なのですが…」
藤堂がうまくマークの攻撃をかわしてくれた。ユキも顔に出さないがホッとしている。
「…しかし…」(マーク)
「彼女にはフィアンセがいます。仕事中にプライベートの事を持ち出したく
ないので…大統領、よろしいでしょうか?」
めずらしく藤堂が強い口調になった。ユキは自分の立場でお互いの立ち位置でずれが生じないか不安になった。
「…マーク、諦めろ。どんなに追いかけても森さんはお前を待っている
わけじゃない。」
大統領がにこやかに話す。
「いや、すみません。前のファーストレディの弟もきっぱり断られたと…」(大統領)
「まぁ…実際そのような事多数ありましたから…」
藤堂が苦笑いで過去を思い出す。その時別のVIPが藤堂の所へ挨拶に来た。ユキは藤堂と一緒に大統領に敬礼するとユキの通訳で話が始まった。
「ユキ、休暇中にすまんな。助かるよ。」(藤堂)
「いえ、お役にたてればそれで…」(ユキ)
「しかし…大統領もわがままに育ててしまったと後悔してるだろうな。」(藤堂)
「息子さん?ですか?」(ユキ)
「見た目は立派だが父親をバックにしないと何もできない青年だ。一応ユキより
年上だが…」(藤堂)
「年上なんですか?」(ユキ)
「よほど古代の方が落ち着いて見える。」(藤堂)
「そうですか?古代くんの方が幼く見えますよ?」
ユキが笑いながら言うと
「確かに顔は幼く見えるが…古代だけじゃない。ユキの回りにはしっかりした
仲間ばかりだ。誰が横に立っても不足はない…だけどマークじゃだめだ。
人に頼ってばかりでいつまでも独り立ちできないだろう。とてもじゃないが
ユキを任せる事なんて…なぁ。」
藤堂がユキに同意を求めてきたのでユキはさらに笑って
「そうですね、全てを任せられるのはあのクルーだけですね。」
そう答えた。
(終わった…)
会場だったホテルの一室が控室になっていて藤堂と別れたユキは自分にあてがわれた部屋に戻り部屋のカギを開けドアに手を掛けた瞬間後ろから誰かに押されながら部屋に入った。
(誰?)
そう思いながらも突然だったので受け身を取る事も出来ずそのまま部屋に流れ込んだ。
「私です…」
マークだった。ユキは床に押し倒されたような格好になっていた。
「何を…」
ユキがマークをにらんだがそのまま唇を奪われた。ユキは嫌がったが全身を抑えられ動けない。長い長いキスが続く…ユキの抵抗は続くが相手も力を緩めない。
(古代くん、助けて!)
マークのキスはアルコールとたばこの匂いがした。
「ダメなら…実力行使するまでです。」
長いキスの後マークはじっとユキの眼を見た。
「いや…やめて下さい!」
マークはユキの両手を押さえつけたまま首筋に舌をはわした。
「いや…古代くん!」
ユキが進の名前を叫ぶが
「こんなところにフィアンセが来るわけないだろう?ここじゃ痛いから…
ベッドへ行こう。」
マークは扉の近くで叫ばれると外の聞こえると思いキスをしてユキを抱き上げた。ユキが抵抗しても体の大きなマークは何ともない。ユキをベッドに下す前にこう言った。
「私も軍で訓練を受けています…抵抗してもムダですよ。」
「!いや!!」
マークはユキをベッドに下す前に背中のファスナーを下した。ベッドに下されながらドレスがはだける…
「美しい…なんて美しいんだ…今日は一晩中…」
マークはユキの真っ白な胸に唇を這わせた
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 4 作家名:kei