yamatoⅢ 太陽制御の後で 6
「へぇ…今日はユキさんとご飯食べたんだ。食欲あった?」
相原が晶子と星間通信をしていた。
<それがね、余りなくて心配なの。一日も早く古代さんを地球に戻して
ほしいわ。やっぱり古代さんがいないとユキさんダメみたい。一生懸命
強がってるけど本当にかわいそうで…きっと二人でいればあんな噂飛んじゃ
うはずよ。私は明日、ヨコスカに戻るから…さっきおじい様に古代さんが
戻ったらそのままユキさんを帰してあげて、ってお願いしちゃった。
それぐらいお願いしても大丈夫よね?>
晶子は真剣な顔をしていた。
「そうだね。それぐらい全然OKだよ。…ユキさんの事は古代艦長に伝えるよ。
多分、メールはすると思うから…ユキさんも艦長が気に掛けてくれてる、
って思ったら“元気出さなくちゃ”ってなるかもしれないし。」
相原はハッとして晶子の顔を見た
「ごめん、ユキさんの話ばかりで」(相原)
<いいのよ、ユキさんはみんなのマドンナですもの。そこで私に気付いて
くれるだけでうれしいの。戻って来たら連絡くださいね。>
相原は通信を切った後“僕はダメだなぁ”と深くため息をついた。しかしヤマトのメインクルーはどうしてもユキが一番になってしまう…相原は“艦長室にいるかなぁ”と言いながら私室を出た。
「相原です、入ります。」
ノックをして艦長室に入った。
「どうした?」
進は疲れ切った顔をしていた。絶対クルーには見せない顔…。
「晶子さんと話をしていました。結構…ユキさん、キツそうだって言って
ました。…連絡取りましたか?」(相原)
「あぁ…メールは毎日してるけど…元気そうな内容ばっかりで…だから
心配なんだ。」
進が深いため息をついた。
「そうですか…やっぱり…」(相原)
「他に何か言っていたか?」(進)
「古代さんがいないとダメみたい、って。食欲も落ちてるみたいだし…
地球に帰ったら一緒にいる時間を多めに作ってあげてください。」(相原)
「ありがとう…悪いな。晶子さんにもお礼を言っておいてくれ。」
進がそう言って力なく笑った。
「俺は…同じ事を繰り返してしまうのか?あの時と同じようにユキを追いつ
めていやしないだろうか?」(進)
「艦長…」(相原)
「艦長は止めてくれ!ユキ一人守れなくてなにが艦長だ!」
進が吐き捨てるように言った。
「古代くん、ユキさんは古代くんを信じてるんだ。だからそんな顔は僕たち
の前だけにしてね。ユキさんはそばにてくれればいい、って思ってるはず
だから。ユキさんはそうやって古代くんが重く考えてしまうのがイヤな
はずだからさ。」
相原が予備生の時と同じ口調になった。
「僕の前では本音、言ってもいいよ。だけどユキさんの前ではしっかりして
ユキさんを支えてあげて。」
進はいつの間にか相原に抜かれてるような気がした。
「…わかった。」
進の返事に相原はにっこり笑うと
「では艦長、私は失礼します。」
敬礼して艦長室を出て行った。
ユキへ
もうすぐ地球に戻る。一日、有給を取って。
進
進は相原が出て行ってすぐにユキにメールを送った。
作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 6 作家名:kei