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yamatoⅢ 太陽制御の後で 6

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  「森さん、私にできる事があったら何でも言って下さい。私は森さんの
   元部下であり…今も秘書課の後輩です。私は非力かもしれませんがヤマトの
   女性乗組員がバックに付いています。安心してください。」

香山は力強く言った。ユキはヤマトに乗っていた時のおとなしい香山しか知らなかったので違う一面を見て驚いていた。

  「あの戦いで森さんの姿を見て誰もが強くならなくてはいけないと思いま
   した。戦闘は自分を守れない者は誰も守れない…それを教えてくれたのは
   ヤマトと森さんです。」(香山)
  「ありがとう…そう言ってくれるだけで嬉しいわ。」(ユキ)
  「実は…私、今回の審議員の一人なんです。」

ユキは香山の告白に驚いた。

  「もちろん、今の話はオフレコです。私は真実が知りたかったんです。
   森さんには申し訳ないのですがこのような場合男性は非常に立場が弱い
   です。ご存知とは思いますが…だけど、私は真実を立証したいって思って
   頑張りますから…森さんも、頑張ってください。」

香山はそう言うとコーヒーを飲み干して立ち上がるとユキに敬礼して秘書の控室から出て行った。




  「ユキ?」

入れ替わりで藤堂が戻って来た。

  「すみません、お疲れ様です…今、コーヒーをお入れします。」

藤堂は疲れ切った顔で長官室のソファーにどっかりと座った。そこへユキがコーヒーを運んだ。

  「ユキも…古代も大変だな。」

ユキの顔色が悪い事に気付いた藤堂はコーヒーを一口飲むと言葉を続けた

  「古代は2日間、自宅待機になっているそうだ…ユキも帰りなさい。」(藤堂)
  「長官?」(ユキ)
  「今一番そばにいてほしいと思っているだろう…ユキも…私のエアカーが
   裏に止まっている。ユキは代休が溜まってるはずだ。後は私に任せて
   行きなさい。」

藤堂はそう言うとコーヒーを飲んだ。

  「こっちの事はメールで伝えるから…」

ユキは深く頭を下げて長官室を辞した。










  「ただいま。」

ユキは制服のまま帰宅した。先に帰宅していた進が驚いて玄関に出てきた。

  「ユキ?」(進)
  「長官が溜まってる代休を消化しなさい、って…」

パンプスを脱いで玄関に上がると

  「古代くん、冷蔵庫見た?」

ユキはいつもと変わらない様子で話しかけた。

  「冷蔵庫?」(進)
  「そう、牛乳買ったからロイヤルミルクティ作って、ってお願いしたでしょ?」

進が冷蔵庫を開けた。

  「入ってる…」(進)
  「私着替えてくるから作っておいてね。」

ユキはそう言うとクローゼットのある部屋に入りしばらくすると着替えて出てきた。

  「できた?」(ユキ)
  「出来てるよ。座って…」

進が二つのマグカップをソファーの前のテーブルに置いた。

  「おいしそう…」(ユキ)
  「少し砂糖を入れるといいよ。やけどしないようにね。」

進が一度キッチンに戻りグラニュー糖を持ってきた。

  「ありがとう。」

ユキがサラサラしてるグラニュー糖を入れてかき混ぜて一口飲んだ。

  「…おいしい。」(ユキ)
  「そう?よかった。牛乳は貴重品だからね…おいしく飲まないと…。」

進も嬉しそうに一口飲んだ。

  「ユキ、どこか行こうか。」(進)
  「三浦?」(ユキ)
  「いや、三浦じゃなくてさ…何もしないでゆっくりできるところ…。約束
   してた食事もできなかった…どうせ二日間はまな板の上の鯉だからな。」

進が深いため息をついた。

  「古代くん…」
  「絶望してるわけじゃないけど…断然歩が悪いだろう?」(進)

ユキはすっかり自信を無くした進にどう声を掛けていいかわからなかった。

  「ごめんな…本当ならユキの事を第一に考えたいのに…」

進の肩が震えていた。

  「古代くん、自分の事を考えよう?私はいいの。古代くん、助けに来て
   くれたじゃない。怖かったけど…私は古代くんがそばにいれば大丈夫。
   ねぇ古代くん、あなたは一人じゃないわ。みんながいる…諦めないで…
   気分転換にどこか行きましょう。どうせならおいしいものがある所の方が
   いいわよね。」

ユキは笑顔を作った。ユキは笑顔を絶やさないようにしようと心の決めていた。私が不安そうにすると古代くんが心配する…進自身の事だけに集中できるよう、ユキが負担にならないよう…

  (今、古代くんを支えられるのは私だけ…)

ユキがそっと進を抱きしめた…が進の眼にユキの手首に巻かれた包帯が眼に入った。

  (俺は…一番守りたい人を守れないのか?)














作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 6 作家名:kei