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yamatoⅢ 太陽制御の後で 6

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  「大統領…明日、帰国のご予定ですが…」

藤堂が大統領の泊まっているホテルに来ていた。大統領は疲れ切っていた。まさか自分の息子が犯罪者になってしまうとは…

  「私は…大統領を続けていていいのだろうか?」

大統領が藤堂に向かってつぶやいた。

  「もし…これが明るみに出たら…」(大統領)
  「ただ、そうなると私の秘書が…」

マークがユキを襲い未遂とはいえ逮捕されたとなればマスコミは黙っていない。ユキは前回の戦いで精神的に追い込まれた。藤堂は大統領でなくユキを守りたかったのだ。

  「キミが…そこまでして秘書を守るのはなぜだ?」

大統領も藤堂が自分でなくユキを守っているのがわかっていた。

  「え?」(藤堂)
  「私にはわかる…少しだけ秘書をしていたお孫さんを見る目に近いが
   それ以上の愛情を感じる。」(大統領)

藤堂はしばらく大統領の顔を見ていたが観念したように話し始めた。

  「ユキは…私の最期の同期が残した…沖田イズムを引き継ぐ者です。ユキ
   だけじゃない…ヤマトのメインクルーは全員沖田イズムを引きついている。
   ユキはもともと民間人でした。沖田がユキに目を付けヤマトに乗せた。
   活躍ぶりは思っていた以上で…ユキがいなければヤマトは地球に戻って
   これなかったかもしれません。ユキに限らずヤマトのクルー、誰が抜けても
   帰って来れなかった事でしょう。
   私は沖田の残した最後の子供たちを一生かけて守りたいと…思っている
   だけなのです。彼らがいてこその地球です。私はただの飾りにすぎません。
   彼らが自由に動けるよう、私はクッションのようなもので…ただ、
   ユキは…強いふりをしてるだけなので誰かが守らなくてはいけません。
   それは時に古代で真田くんで…私なのです。彼女は孤独です。一緒に訓練を
   した同期がいない…。ヘタすると誰も助けてくれないかもしれないから
   私がいるんだと…大げさかも知れませんが…だから孫より目を掛けて
   しまうんです。」

藤堂が照れながら大統領に話した。

  「すまんな、そんな大切な女性を息子は…」(大統領)
  「彼らは人の痛みを自分の痛みと捉えます。きっとユキに対して行った
   行為はユキだけでなくクルー全員の傷なのでしょう。」

大統領はその後何も言えなかった。








  「出てきましたね…林田さんが訓練した後古代くんが訓練するまでの時間…
   最初の二日間はほぼ一緒…この間は一緒に訓練したと捉えるのが自然
   でしょう。だけどその後は2時間以上もあいてます。これは明らかに別で
   訓練した、という事。まずこれで一つ噂が噂であったことの証明になり
   ましたね。だけど最終日…古代くんが訓練していません。」

一日も欠かさず訓練するのにおかしい…と相原がつぶやいた。

  「多分、ここで古代くんは押し倒されちゃったんでしょうね。やっと100%で
   訓練が終わったから話でもしていたのでしょう…ユキさんの履歴を見てる
   時の嬉しそうな顔を思い出しました。多分、それに近い顔で褒めたんで
   しょうね。相手は勘違いしますって。」

相原がため息交じりに言った。

  「さて…どうやって“古代が押し倒された事を証明するか”…ですね。」

真田はその一言に頷いた。

  「あ…」

相原が何かに気付き声を出した。

  「なんだ?何か気付いたか?」(真田)
  「…ユキさんの手首、島くんが言ってましたがすごいアザになってたって。
   …林田さんの手首にアザがなければ…普通の女性は襲われたら抵抗します。
   自分を守るためですからすごい力で抵抗すると思うので絶対アザができ
   るんですよ。林田さんにアザがなければ抵抗しなかった…という事になる。」

真田がユキが手首に包帯を巻いている事を思い出した。

  「なるほど…それをどう…伝えるか、だな。」(真田)
  「長官に相談しましょう。一番信頼できる人ですから。」

相原はそう言うと伊藤に連絡を取り長官と話が出来ないか聞いた。













作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 6 作家名:kei