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yamatoⅢ 太陽制御の後で 6

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  「ただ…私たちが動いている事を知られないようにしてほしい。裏で手を
   回した、様な事になると反対に古代の立場が悪くなってしまうからな。
   頼んでおいて…なんだが…。」

真田が複雑そうな顔をする。

  「いえ…私も違和感を感じていたので反対にすっきりしました。一応中立の
   立場なので林田さんの話をしっかり聞いた後それとなく話を続けて矛盾
   している所を突っ込みます。」

香山は自分もすっきりした顔をしていた。

  (やっぱり古代艦長は無実だったんだ…)

と、そこで香山がある事を思いだした。

  「そう言えば古代艦長が“証言してくれる人”が一人だけいる、と言って
   いましたが…ご存知ですか?」(香山)
  「あぁ、多分林田の同期だろう。林田がそいつには本当の事を話したらしい
   から…古代も最終的にそいつに証言してもらおうと思っているっぽいが
   林田の手首にアザがなければ証人もいらないだろう。」

真田が安心したように言った。

  「だけど…古代艦長らしくないですね。押し倒されちゃうなんて…。」

香山は戦闘オーラ全開の進を思い出した。

  「あいつは戦闘中以外はボケたオヤジと同じさ。いつハメられてもおかしく
   ないと思う。全く周りが見えなくなるからな。」

島が“しょうがないよ”と言うように両手を万歳して言った。
 








「林田です。」

約束の時間に美樹は香山の待っている部屋にやってきた。香山は真っ先に美樹の手首を確認する。

  (やはり…)

香山は顔の出さないように注意しながら美樹を部屋に招き入れ用意していたコーヒーを出した。

  「どうぞ、おかけください。」(香山)
  「失礼します。」

美樹はそう言って昨日と同じポジションに座った。

  「さて…早速だけど……昨日、話せなかった事私に話せるかしら?」

香山がコーヒーを一口飲んでからゆっくり言った。

  (相手を威圧しないようにしないと…)

美樹は少し考えてから言葉を選ぶかのように話し始めた。

  「私…古代艦長にあこがれていました。だから…キスされた時嬉しくて…
   舞い上がっちゃって…」

美樹は嬉しそうに話す…が香山と視線を合わせようとしない。

  「訓練もずっと見守っていてくれて…最後の日の訓練はいつもより厳しくて
   膝が萎えちゃって…立ち上がるのも大変でした。古代艦長はそんな私の
   様子を見に来てくれました。」(美樹)
  「古代艦長にキスされて…それから?」(香山)
  「あの…そのまま…」(美樹)
  「そのまま?」(香山)
  「抵抗しようとしたんですが…なんせ力が強くて…」(美樹)
  「抵抗?」(香山)
  「…私が立てずによろけた所で…覆いかぶさる、と言うか…」(美樹)
  「襲われた、と?」(香山)
  「…そう…なります。」(美樹)
  「抵抗したの?」(香山)
  「最初は驚いて…すごい力だったし…だけどやっぱり、って思って抵抗
   しました。声も出そうと思ったけどキスされちゃうと声出せないし…」

美樹の声が小さくなる。

  「そう…古代艦長は何か言ってた?」(香山)
  「いえ…ただ…艦長だから…」(美樹)
  「艦長だから断れなかった、という事?」

香山がそう言うとうつむき加減のまま深く頷いた。

  「そう…じゃぁ古代艦長は自分の立場を利用してあなたを襲ったという事ね。
   そうなるとパワハラとセクハラ…これからの人事で大変な事になるわ。
   次の輸送船団の護衛艦の艦長職ははく奪されるのは間違いなさそうね。
   ヤマトの乗組員としても…」

香山は言葉を濁した。

  「…え?古代艦長…じゃなくなってしまうのですか?」

美樹が驚いて言うと

  「当たり前じゃない。自分の立場を利用して自分より弱い人を襲った人に
   そんな責任ある仕事を任せられるわけないじゃない。ヤマトの艦長なんて
   任せられないわ。…そうね、ヤマトの艦長は真田さんか島さんになると
   思うわ。」

香山が具体的な名前を挙げる。

  「え…でも、それじゃ…私のせい…私がいたから、って事ですか?」

美樹が急におどおどし始めた。

  「あなたがいたからじゃないわ。あなたに対するパワハラとセクハラの
   せいよ。あなたが気にする事じゃないわ。…古代艦長にはがっかりね。
   もういいわ、帰っても。」

香山はそう言ってテーブルの上に置かれた美樹の手を見た。

  「…あら?」

美樹の動きが止まった






作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 6 作家名:kei