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yamatoⅢ 太陽制御の後で 7

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  「そうか…」

進の肩ががっくり落ちた。

  「明日の出航の時、乗る事を許可もらおうと思ってるんだろう?大丈夫だよ、
   お前を下すって新艦長が言ったら新艦長を俺たちが下してやるから!」

島は笑顔で言った。

  「俺もお前がいなければ戦えない…たとえそれがヤマトだとしてもダメだ。
   お前とヤマトと一緒になって100%以上の力が出る。それをバックアップ
   するのが俺らの役目。頼むぜ?今度はしくじれないからな!さぁ分かったら
   部屋に行って休め。メシは運んでもらうから…な?」

進はふと兄、守を思い出した。自分が具合、悪い時…かあさんにそう言って寝るよう言ってくれたことがある。はるかかなた、遠い記憶だが…

  「わかった…戻るよ。」

進が怒られた少年のように小さな声で言った。

  「素直でよろしい!」

進は立ち上がると第一艦橋を出て行った。







  「幕の内さん」

島は艦内の通信機で幕の内を呼び出して進の部屋に適当に見繕って運ぶようお願いした。









  「沖田艦長、ダメですよ…通達出ていないんですから!」

ユキは偶然、艦長室にいた。艦長室にはモニターがいくつかあり艦内をあちこち見る事が出来た。進が第一艦橋に入った時、沖田は一番大きなモニターを第一艦橋に合わせた。おぼつかない足取り、後ろ姿しか見えないが生気を感じなかった。

  「古代は…ちゃんと退院できたのか?」(沖田)
  「いえ…ですが担当医と後は気持ちの問題、との事で…古代くんはヤマトが
   一番効くんです。」(ユキ)
  「効く…か。そうかもしれんな。」

沖田は震える進の肩をじっと見つめた。ユキの心もはちきれそうになる。

  「ユキ、あの男は強くなったのかね?」(沖田)
  「えぇ…少しだけ。強がりはうまくなりましたけど…あのころのままです。
   だけど強くならないといけない、って判ってますから大丈夫だと思います。」

ユキが答える。

  「古代はワシに付いてきてくれるだろうか?」(沖田)
  「誰もが付いていきますよ。」

ユキの笑顔は不思議と不安な心を落ち着かせる。

  「ユキ、いい恋をしたようだな。」(沖田)
  「なにを急に…」

ユキは顔を真っ赤にした。

  「信じ合うという事はとても難しい事だ。今までの航海記録を全て目を通した
   古代だけじゃない、メインクルーすべてのヤマト以外のも全部だ。誰もが
   危機感を持って仕事しているのが分かる。そしてこのメンバーが信頼し合い、
   お互いを高め合っているのが手に取るようにわかった。私は本当にいい子
   たちに巡り合えた…ユキもだよ。」(沖田)
  「沖田艦長…」(ユキ)
  「男ばかり…それも若くて経験のない連中ばかり…そこに女性を入れると
   空気が和らぐ。だけどそれは誰でもいいものではなくはやり頭の回転の
   速い子じゃないと次から次へと問題が起きた時に耐えられない。ワシはユキが
   たおやかな女性だと真田くんから聞いていたから第一艦橋へ入れた。
   確かにそうだった。真田くんの人選は間違っていなかった。今回は今まで
   ヤマトにない短期決戦になるだろう。藤堂にもそれを言って新しい艦内服
   にしてもらった。仕事の種類は減るかもしれんが内容は濃くなる。大変な
   戦いになる…特に本調子でない輩には健康面でも頼むな。」(沖田)
  「任せてください、艦長。」

ユキはそう言って敬礼すると

  「急に明日、出航が決まったから朝一番で軍に戻って長官と一緒に来ますね。
   それまでは…大人しくしていてくださいね。」

と、言って敬礼して艦長室を出て行った。












  「よぉ」

進の部屋に幕の内がやってきた。

  「さっき、通達出て進くんが艦長を下りた、て事が表に出てちょっとした
   騒ぎになってたよ。」

幕の内は持ってきた包を広げふたを取った。・・と同時に酸味のきいた香りがした。


作品名:yamatoⅢ 太陽制御の後で 7 作家名:kei