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こらぼでほすと 花見5

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「すぐには無理だ。だいたい、あんた、砂漠なんかに出たら、即座に干からびるぞ。」
「ひでぇーな。ちゃんと装備して行くよ。・・・・まあ、それなら、いつか連れて行ってくれよ、刹那。おまえが一緒なら、なんとかしてくれるだろ? 」
「そうだな。あんたの世話は俺の責任だ。」
「アラ、ニール。それなら、アタシが居たところにもイキマショ? 砂漠とオアシスのあるところナノ。バザールも楽しいワ。」
「それ、中東ツアーとか言って、また、慰安旅行になるんじゃないか? アイシャさん。」
「ウフフフ、なるデショね。シンとレイがプラントツアーもやるんデショ? いいわね? ニール。世界中にイケルわよ。」
「あんた、さっさと回復しろ。天空の湖に連れて行く予定だ。」
「は? 刹那、そんな予定あるのか? 」
「ある。MSの加速に耐えられる身体になったら連れて行く。俺の未来だ。」
 刹那の戦わない未来は、今のところ、ニールと何かをすることだから、いずれの予定だが、一応、宣言はしておく。そうでないと、どんどん勝手に、『吉祥富貴』の面々に確保されてしまう。
「それ、まず、ロックオンと行けばいいんじゃないか? 刹那。新婚旅行とかでさ。」
「それなら、おかんと嫁と行く。」
「いや、新婚旅行に俺を巻き込むな。」
「嫁のほうが、ついでだ。あんたがメインだから、巻き込まれるのはロックオンのほうだ。」゛
 絶対に賭けてもいいが、そんなことになったら、実弟は拗ねるだろう。亭主にではなくて、実兄に、ねちねちと文句を吐くはずだ。そんな場に、ニールは行きたくない。妥協案を提示してみる。
「うちの亭主も連れて行ってもいいか? 」
「ダブルオーに四人は無理だ。」
「・・・おまえさん、私用に組織のMSを使う気か? それこそ却下だ。」
「だが、キラに借りても四人は無理だ。どちらにせよ、あんたは俺と乗って、ロックオンは別のMSだ。」
 どうあっても、実弟に詰られることは確定らしい。どうせ、次の予定ではない。そのうち、ということにして、ニールも、「はいはい。」 と、頷いておくことにした。
「天空ノ湖。それは、キレイ? 刹那。」
「ああ、あれは一見の価値がある。あんたも来るなら、別のMSになるぞ? 」
「モチロンよ。アタシは自分で操縦スル。」
「はい? 」
「ニール、忘れてるワネ? アタシは、元軍属デ、出撃してイタワヨ? 」
 そうなのだ。アイシャは、元軍属でMSだって乗りこなしていた。今の若奥様風の衣装と雰囲気で、うっかり忘れるが、今だって、どこかに武器は持っている人だ。
「なんかイメージがわかないな。アイシャさんって、そんな感じしないんだ。」
「オホホホホホ、ニールと同じクライ、修羅場はクグッテルもの。あなたを守るクライ、朝飯前デス。半年は療養。これは、変更ナシ。オーケー? 」
「はい、すいません。お願いします。・・・・てことは、梅雨時分までは、ナマケモノなのか。」
 治療から半年かけて細胞異常は正常に戻る。春には、ある程度、落ち着くとドクターからも言われているものの、完全とはいかないらしい。ニールにしても、どこが良くなったとは感じられないので、回復してんだかどうかは解らない代物だ。確かに雨が降っても即座にダウンはしなくなったから回復はしてるらしいという漠然としたものだけだ。
 そこへ、玄関から足音だ。寺のものが帰ってくるにしては早いんだが、と、ニールが廊下に顔を出したら、虎が単独だった。
「三蔵さんの客が、まだ片付かないんで、俺だけ戻って来た。ニール、ちょっと夜食を食わせてくれ。あと、軽くお湯割り。」
 坊主の予約客が、まだ帰りそうにないし、虎も黒猫の顔は見たかったので、先に店は退けてきた。居間に入ると、黒猫は、はごはごとガーリエマーヒーを食べていた。
「おい、俺も、これも食わせてくれ。」
「はーい、米も? 」
「いや、そっちは茶漬けがいいな。スープだけ。」
 ここは、どこの小料理屋ですか、という感じで、虎は注文するが、ちゃんと希望のものが出て来る。寺は、かなり人の出入りが激しいから、いろんなものがストックされているからできることだ。一口、その中東のスープを飲んで、「久し振りだなあ。」 と、虎も感慨深く息を吐いた。これが常食だった頃は、キラと敵対していた。それからすれば、随分と遠いとこまで来たなあーという気持ちになる。いつの間にやら、キラと共闘しているし、どうやら最終的にはプラントの要職に就かざるをえない事態が待っていそうだ。鷹は、そうなったらオーヴのほうに復職するだろうが、自分は、そうはいかない。まだまだ若いキラたちの補佐はしてやりたいと虎も思っているからだ。逆に鷹はカガリの補佐に収まるだろう。世界を恒久的平和に導くには、プラントもオーヴも対等に強くなければならないからだ。なかなか、楽隠居はさせてもらえない。
「店は忙しいんですか? 虎さん。」
「週末辺りは、予約が多いんじゃないか。適当に店も手伝ってくれ。黒ちび目当ての客もあることだしな。」
「じゃあ、明日からでも顔を出します。刹那、いいよな? 」
 刹那のほうは、こくっと頷いただけだが、了承しているらしい。それを確認すると、ニールは台所に引き上げて、何やらごそごそと動いている。現金なほど元気だから、虎もくくくく・・・と肩を震わせている。



 週末まで、適度にバイトにも顔を出し、週末は動物園ツアーが敢行された。欠席したのは、虎夫婦とダコスタ、ハイネだ。鷹夫婦は、ちゃんと出張っている。ラボのほうのローテーションの加減で、そういうことになる。
「鷹さんたちも虎のとこへ行く? 」
「俺たちは、離れて鑑賞させてもらうよ、悟空。あまり大人数もマズイだろう。」
「じゃあ、とりあえず一緒に入るってことでいいな。」
 まだ、歌姫様は、こちらに帰国していないが、手配のほうはしてくれた。リジェネを連れたままで、次の目的地に移動した。刹那がいるから、リジェネは特区に戻っても、寺には帰れないからのことだ。
「悟浄さん、八戒さん、悟空のフォローをお願いします。俺たちは、その後を続きます。」
 いくら悟空に従順な虎といえど、安全策は講じるのが、アスランだ。前回は、人外の上司様ご一行も一緒だったから、キラたちも一緒に入ったが、今回は、防御役が少ないから、まずは悟空と刹那だけが、虎と対面する。
「了解です、アスランくん。まあ、大丈夫だと思いますよ。悟空の知り合いですし、悟空一人でも、どうにかしますから。」
「そうなんですが、さすがにキラは、何をするかわかりませんから。」
「失礼だね、アスラン。僕だって、さすがに、いきなり虎にハグとかしないよ。」
「あ、ママはいいぜ。刹那と一緒に入ろう。」
「はい? 」
 できれば、遠目に観察していたいニールは、刹那と悟空に腕を取られた。その後に、沙・猪家夫夫が続いている。
「ママは、ちゃんと挨拶してるからさ。ほら、行こうぜ。」
作品名:こらぼでほすと 花見5 作家名:篠義