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【腐】恋愛妄想疾患【亜種】

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「綺麗に手入れされてるね。庭の管理もアカイトが?」
「いや、庭師を雇ってるよ。さすがに、俺一人じゃ手が回らないから」

アカイトはカイトを連れて、庭を散策する。そうは言っても、隣を歩く相手を直視できなくて、ちらちら見ては視線を逸らしていた。
綺麗な青い髪と、端正な横顔と、囁くような声を意識して、自分の顔が赤くなっていないか気にしながら。


しばらく見て回った後、不意にカイトは立ち止まり、

「ねえ、僕は何か、アカイトの気に障るようなことをしたかな?」

首を傾げて、アカイトに聞いてくる。

「え? いや」
「さっきから、何か言いたそうだから。僕はアカイトと仲良くなりたいから、どんなことでも言って欲しい」
「い、いや、あの、別に、そういう訳じゃ」
「ちゃんとこっちを見て欲しいなあ」
「・・・・・・・・・・・・」

そう言われても、アカイトは目を合わせることが出来ず、俯いた。
本当のことを言えば、カイトは自分を軽蔑するだろう。アンバーも気味悪く思うかもしれない。そうなれば、またガーネットに迷惑をかけてしまう。

また、あの時のようなことになったら・・・・・・!

「アカイト?」
「いや、あの・・・・・・か、カイトの、青い髪が、羨ましいなって、思って」

カイトの促すような声に、アカイトはとっさに誤魔化した。

「僕の?」
「う、うん。俺は、そのせいで捨てられたから。って、ごめん、お前に言うことじゃないよな。忘れてくれ」

無理矢理笑顔を作って顔を上げると、いきなりカイトに抱きつかれる。

「ひやああああああああ!?」
「アカイトの髪は、綺麗な色だよ」

耳元で囁かれて、びくりと身を竦めた。カイトは気づいてない様子で、アカイトの肩に顔を埋める。

「僕は、アカイトの声が羨ましい。こんなに綺麗な声なのに、どうして捨てられたんだろう? ねえ、僕らは『完璧』でないと意味がないのかな」
「・・・・・・・・・・・・」

アカイトは何も言えず、なすがままになっていた。
髪目の色が違う自分と、声の違うカイト。「欠陥品」の自分達に、意味などないのだろうか。

「・・・・・・カイトの声は、綺麗だと思う」

アカイトは、おそるおそる口に出す。他意などないと、弁解するように。

「ありがとう。そう言ってくれるのは、アカイトだけだ」

そう言って、カイトは腕に力を込めてきた。掠れた声に、胸が締め付けられる。

・・・・・・カイトの側にいたい。

だから、決して気づかれてはいけないのだ。