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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 14

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「おっと、お遊びはもうせんといったのだったな。では全てを終わりにしよう。レムリアを征服するつもりであったが、それも取りやめとしようぞ」
 ポセイドンの言葉に全員が驚いた。
「ポセイドン、お主レムリアの力を手に入れ、不老不死になるのではなかったのか?」
 スクレータが訊ねた。
「ふん、人間の爺め、まだ生きておったか。まあよい、教えてやろう。私はもう既に不死の存在なのだよ」
 ポセイドンの言っている意味は誰にも分からなかった。
「私を纏うこの結界こそが私を不死の存在としているのだ。先ほども申したようにこの結界は全てを弾くのだ。そう、死、さえもな」
 とてつもない結界である事がポセイドンの口から語られた。なんと彼は当に不死の存在となっていたのだ。しかし、そうなると一つ疑問が生じる。
「なっ、だったらポセイドン。何故レムリア周辺を、僕の故郷を魔に染めたんだ!?」
 ピカードは叫ぶように訊ねた。答えはポセイドンの恐ろしい笑みとともに出された。
「一つの海域を魔界にするのは私の道楽でねぇ。しかもレムリアは水のエレメンタルが強いおかげですこぶる居心地が良かったのさ。水のエレメンタルが強い場所は他にもある、が、古代文明の呪法によってこれほどの力を手に入れられた。ひとまず感謝したい」
 ただの道楽によってポセイドンはレムリア周辺を魔の海域としていたというのだ。しかも彼はレムリアにある特別な力によって不死の存在となった。
 事はほとんど彼の思惑通りに進んでいた。
「そして、そこのレムリア人に私はこけにされた。その私怨を持ってレムリアごと貴様らを消す。さあ、覚悟するがいい!」
 ポセイドンは念じ始めた。すると、辺りが激しく揺れ始めた。海底地震である。その揺れはかなり激しく、立っているのもやっとであった。
「くそ、何をするつもりだ!?」
「この海底地震はレムリアにも届いている。我が最強の力を以て津波を起こし、この空間ごとレムリアを海の藻屑としてやろう!」
「そんな事させてたまるかよ、くらえ!『封魔手裏剣!』」
 シンは手の中で風を凝縮し、刃としてポセイドン目掛けて放った。しかし、ポセイドンの纏う結界に阻まれてしまう。
「もの忘れの激しい奴だなそんなものは通用せん!」
「ちきしょう、このまま指くわえて見てるしかねえのか…!?」
 揺れはなおも続く。
「さあ、そろそろ終わりにしよう!」
 ポセイドンは地に刺した槍を手に取り、横薙に振り回した。
「オーシャン・グレイブ!」
 ピカード達へと津波が押し寄せた。ピカード達の身長をゆうに越え、一瞬にして彼らを飲み込まんとする波であった。
『ドライ!』
 メアリィは詠唱し、水を消し去るエナジーを発動した。津波はどんどん熱を持った光球により、蒸発していった。しかし、全てを蒸発させるにはいたらなかった。
「うわあああ!」
「きゃあああ!」
 一同は低くなったが、威力の落ちていない津波に足をすくわれ、倒れた。
「まさか我が津波を蒸発させようとはな、ならばさらなる大波を発生させよう。それを以てこの海域も、レムリアも消し去ってくれるわ!」
 この言葉に強く反応したのはピカードであった。
 レムリアには大切な人々が沢山いる。レムリアを統べる王、ピカードの友人、家族、そして、何も告げることができずに別れてしまった母親。
「ふざけるなぁぁぁ!」
 ピカードは立ち上がりながら喉が張り裂けんばかりに叫び、ポセイドンを睨んだ。
「そんな事は、僕がさせない。絶対に!例え貴様にダメージを与えられないとしても、あらゆる方法を使って貴様を海の藻屑にしてやるぞ!」
 ポセイドンはピカードの叫びを嘲笑った。
「ははは…!この結界に包まれた私を滅するなど不可能!どのような力を使ったとしても、破ることなどできん!」
 ポセイドンは念じ始めた。最後の津波を発生させるために。
「くっ、ポセイドン!ポセイドン!!」
 ピカードは叫ぶしかなかった。
 誰もが何もできぬ状態となった時、ふとポセイドンに異常を来すものが現れた。
「ぬう?おかしい、これ以上波が高くならん?」
 ポセイドンに異常を来していたもの、それはイワンの胸元で光り輝いていた。
 それはポセイドンの禍々しい力を押さえ込み、それ以上増幅しないようにしていた。
 イワンが首から下げていた小さな三つ叉の槍は以前、ウェイアード極東に位置するジパン島、イズモ村をオロチの魔の手から救った際、ウズメより礼の品として受け取ったものだった。
 これを持って海に出ると、海の魔物を、三つ叉の槍を持っているだけで退ける事ができた。
 海魔神と言えどポセイドンは海の魔物である。三つ叉の槍は彼の魔の力に反応しているようだった。
――これを使えばもしかしたら…!――
 イワンは三つ叉の槍を首から外した。
「えい!」
 柄の部分を握りしめ、ポセイドンに投げつけた。
 小さな三つ叉の槍はポセイドンの見えない壁にひびを入れた。
「くっ!小僧、よくも!」
 槍の先がポセイドンの結界をどんどん割っていった。そしてついには全てを弾き返すポセイドンの結界が、硝子のようにひび割れ、砕け散った。
「私の、私の結界が!ぐおおおお!」
 結界が破れた事で、ポセイドンの力は一気に弱まった。これまで跳ね返していた老化がその時まさに進んだのだ。
 顔にしわが寄り、鋼の如き肉体は骨と皮だけに衰えていった。数千年もの間生き続けてきた彼の体はとうに滅びているはずだったのだ。
「ぐ…、うおお…。ワシの体が崩れていく…!貴様ら、許さぬぞ…!最期の力を使い、貴様らも地獄へ道連れにしてくれるわ!」
 ポセイドンはふらふらな状態になりながら、最後の足掻きを始めた。オーシャン・グレイブを発動すべく、念じる。
 しかし、体が朽ち始めたポセイドンの力などたかが知れていた。ピカード達の勝利は最早目前であった。
「オーシャン・グレイブ!」
 ポセイドンは血を吐きながら津波を発生させた。威力は非常に弱い。メアリィの『ドライ』で十分対応できた。
『チルドアース!』
 メアリィが波を蒸発させる傍ら、リョウカが迫り来る津波を凍結させた。一方は空気となり、もう一方は氷の塊となった。
 ポセイドンへの道は拓かれた。
「今です、ピカード!」
「奴の息の根を止めてやれ!」
 リョウカとメアリィは叫んだ。その叫びを聞きながら、ピカードは自身にふつふつと湧き上がる思いがあった。
 ただの道楽にてレムリア周辺を魔の海域と変え、そしてレムリアの力を得てレムリアを破壊する。ポセイドンの目的であった。
 ピカードの脳裏には故郷レムリアの人々の顔が浮かんでいた。レムリアを統べる王、長年の友、叔父、そして不幸にも離ればなれとなってしまった母親。
 全てはポセイドンさえいなければ彼らに危機が迫ることはなかった。ピカードは最大の怒りを露わにした。
「うわあああああ!!」
 怒りは喉が張り裂けるほどの叫びと変わった。
「ポセイドン、覚悟しろ!」
 ピカードは一心にポセイドンへと駆け出した。
家族、友を滅ぼそうとしたポセイドンへの怒りはピカードに新たな力を目覚めさせた。
『フリーズ!』
 ピカードはエナジーによってポセイドンを凍結させた。そして冷気を両手両足に纏った。