タイムドライバー
「時間を遡ってその時点で、バサラ君とギギルの精神の同調を阻止すればいいんだよ」
千葉の言う意味がよくわからなかった。
理論はわかる。だが、方法がわからない。時間を遡るなど、タイムマシンでもない限りできるはずはないだろう。
疑うように覗き込んだガムリンの視線に、千葉は悠然と答えた。
「あるんだよ、タイムマシンが。試作機だが、完成している。私の古い友人が、ようやく作り上げた。
もう少し、早く出来れば良かったんだが、これが精いっぱいだった」
千葉はすまなそうに頭をさげた。
「まさか、そんなものが・・・」
ガムリンはまだ、信じられなかった。
「本当だ。お前はそのタイムマシンで過去へ行くんだ。バサラ君を救う方法はそれしかない。
つべこべ考えている余裕はないんだ。事態は一刻を争う。バサラ君が消滅してからでは、
遅いんだ」
千葉はガムリンの腕を掴むと立ち上がった。
「とにかく行こう、詳しいことは道中に説明する。」
未だ、ガムリンは半信半疑だった。
バサラの傍を離れることに躊躇いもあった。
しかし今は、千葉を信じるしかないとガムリンは覚悟を決めた。