タイムドライバー
どこかが違う。いや、足りないといった感じだ。
あの男にはあって、ガムリンに無いもの。
それが何かはわからなかったが、バサラにとって決して嫌なものではなく、
むしろ好ましいものだった。
(もう一度、会いたい……)
「バサラ……その、大丈夫か……?」
思考しながらか緩んだ腕を、ガムリンがそっと解いた。
いきなり抱きつくという奇行に対してか、それとも考え込む姿になのか
ガムリンに心配そうに声を掛けられ、バサラは、はっとした。
「あっ、悪りぃ、気にすんな……ええっとぉ、お、俺の歌が聞きてぇんだったか、」
バサラは我に返ると、気まずくなった雰囲気を破るようにガムリンの耳元で歌い始めた。
大声で歌われ、困惑するガムリンを、ミレーヌが不思議そうに見ていた。