G Generation Guardian
ハヤトのチームもミーティング通りに機体を動かす。しかし、相手の様なフォーメーションではなく、ハヤト一機が一気に前進し、他の機体は散開してしまう。
「ほう…面白い戦い方をする。全機、相手が新兵だからと気を抜くなよ!」
『『『『了解!!』』』』
隊長が通信を掛けると、僚機はほぼ同時に了解の二文字を返し、相手の迎撃にあたる。因みに隊長のチームは隊でもベテランな者達が振分けられ、ハヤトのチームが新兵ばかりで構成されていた。経験の差を戦術とインパルスの性能でどう埋めるか、というのが課題である。
「躊躇はしない…このまま突っ切る!」
ハヤトは迷わぬ様に、自分にそう言い聞かせながら機体を最大まで加速させる。フォースシルエットの改良型であるイカロスシルエットは、直進速度であればC.E.の機体でもトップクラスの速度を誇る。その代わり、パイロットに掛かる負担は大きく高い操縦技術も要求される。本来支給される予定のエースパイロットであれば問題無く本機を操るだろうが、新兵であるハヤトにはいささか不安が残っていた。しかし、ハヤトにも「赤」の面子はある。デブリに機体をぶつけて戦闘不能になる様な無様な真似はしたくなかった。
「落ち着け…自信を持て、俺!」
自己暗示が効いているのか、デブリが邪魔をする宙域の中をハヤトは確実に避け、敵機へと狙いを定めていた。シュミレーションで訓練していたフォースインパルスのデータよりは、小回りが効き辛い。それを疎ましく感じながらも、ハヤトは機体にライフルを構えさせた。
「いけっ!」
ハヤトは引き金を絞り、ライフルの弾頭を発射する。
「!」
しかし、敵機に命中判定は下らなかった。敵機は撃たれる直前に反応し、目の前のデブリを盾にしてペイント弾を防いだのだ。これがビームならばデブリを破壊し、相手にダメージを与えられたかもしれない。しかし戦場で「もしも」を期待してはいけない。それを当てにしているようでは戦果を上げるどころか生き残る事さえ出来ない。そう教えてくれたのも隊長だった。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん



