G Generation Guardian
『戦場で機体を停止させるなど…巫山戯るのも大概にしろ!』
「確かにそうであります。ですが「勝ちは勝ち」ですよ、先輩方!」
激昂する士官に対し、ミックは得意気にそう言い切った。無論今の戦法は実際の戦場での実用性は皆無であるし、隙を狙った奇襲であるため褒められた方法ではない。しかし、「演習」においてどうやって実力以上の相手を打ち負かすか必死に考えた結果がこの作戦なのだ。ハヤト達はそれが完遂された達成感に満ちていた。「勝利の美酒」というものであろうか。しかし演習は終わった訳ではない。敵には隊長がいる。一刻も早く味方の援護に回り、本当の勝利を手にしなければならない。
「行こうぜハヤト。若人の力を見せつけてやろうぜ!」
「ああ!隊長は俺が引き受けるよ。ミック達はその僚機を!」
「了解だ!」
ハヤトは今、最高に充実した気分を其の身に感じていた。ミックと一緒ならば出来ない事は無い。そう感じられる程に、だ。
しかし彼は知らなかった。残酷な程に無知であったのだ。「このセカイ」、GENERATION WORLDでなければ、今から起こる「悲劇」は起こらなかったかもしれないというのに…。
一つの艦が在った。
しかしその艦の周りに存在するモノは澄み渡った地球の空でも、暗黒に染まる宇宙でも無かった。ただ何処かに艦が浮いている。傍から見れば其の様に形容する事しか出来ない。
艦の型はU.C.150年代にザンスカール帝国が使用した「アドラステア」そのものであった。艦に巨大な車輪が着いており、同型艦はU.C.153に敢行された「地球クリーン作戦」に於いて、その巨大で堅牢な車輪は街すらも踏み潰して尚も進む程理不尽であり、暴力的な性能を発揮している。
その艦には、おおよそ軍人とは思えぬ者達が顔を連ね、嵐の前の静けさの様にその艦に留まっていた____。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん



