G Generation Guardian
「だから引き際は見極めた。しかし幼いが、いい戦士を見つけた。…あれは強くなる。」
叢は満足げであり、期待も込めた様な笑みを女性に向けた。反対に、女性は心配そうに彼を見つめた。彼女___サキは叢とは「元の世界」から共に歩み、今もこうして戦いに出る彼の背中を見守っている。しかし、たまに彼が解らなくなる時がある。彼は戦士として戦場へ赴いている以上に、死に場所を求めている様な気がしてならないのだ。今回の出撃で出逢った戦士に対しても、警戒する所か何かを彼に望んでいる様な物言いをしてみせた。その「望む事」と云うのが「自らを討つ」ということならば…。その先は考えたくも無かった。
「…それより、「彼」が何処にいるか知らない?さっき出ていったきり見ていないのだけれど…」
「「奴」か…俺は知らん。」
サキが話題を変えようと或る「男」の話をする。叢は関心は微塵もないと言った様子で言葉を返したが、その直後凄まじい勢いでブリッジに駆けて来る人間の姿があった。
『ここにいるぞおおおおおお!!!』
そう言い放つと同時に跳躍し、叢の前に滑り込む。そして叢は「それ」をゴミの見る目で見詰めながらその脚でそれの体を踏み付けた。
「誠に残念だ…ああ残念だ。」
「痛い痛い痛い…何が何が何がァ!」
「お前の様な巫山戯た存在がこの「G BREAK」の頂点にいる男だという事がだ!『クレスタ』!!!」
叢が怒りの表情で踏み付ける「クレスタ」と呼ばれるそれは全身を覆うマントの様な衣服に狼を模した様な仮面を着用しており、傍から見れば不審者とも取られる様な風貌をした男だ。その男が骨の軋む音を響かせながら悶絶の悲鳴を上げていた。ようやく開放されると、弱々しく立ち上がり叢達の方を見た。
「ジョークやん… 」
「黙れ。 」
ようやく見つけた弁解の言葉も叢により一蹴されてしまう。彼は彼を落としながら艦長席の横の席に座る。その席には普通その艦の指揮官が座る所である。変な恰好をした巫山戯た男には不相応に思える。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん



