G Generation Guardian
「各員聞いたな!今この宙域に接近する機体がある。装備を実戦に切り換えろ、迎撃を行う!ハヤトはシルエットの換装を急げ!!」
「敵襲…!実戦をするのか、これから!」
『その為の俺達だ!腹括るぜ、ハヤト!!』
「…分かった!」
実戦。先程までの様な模擬戦ではなく、命を奪い合う戦いだ。ここにいる誰かが、或いは自分が死ぬかもしれない。背筋が凍る様な恐怖がその身に奔る。しかし、戦わなければ仲間は守れない。ミックの言葉通り腹を括った。
「此方インパルス・アテナ!『アナトシルエット』を射出してください!!」
他の機体が装備を実弾に切り替える中、ハヤトはシルエットフライヤーの射出を要請した。程なくして、母艦からシルエットフライヤーが射出される。それを確認したハヤトはシルエットフライヤーを誘導させ、装備の換装を開始した。先程の高機動型とは違い、対艦刀を二振り携えた接近戦型のシルエットだ。機体にシルエットを装着し、同じくシルエットフライヤーから分離した小型シールドが両腕に装着される。すると機体色はソードインパルスと同じ赤の色を示す。ロケットアンカー付きのシールドを装備し、背部には翼と見紛う大型ビームブーメランと対艦刀を携える。ここにインパルス・アテナ第二の形態が姿を現した。
「行くぞ、『アナトインパルス』!!」
「折角出られると思ったらこんなチンケな任務かよぉ…面白くねぇなあ…まぁ、いいか。憂さ晴らしには丁度いい… 」
或る機体の操縦席の中、男が一人うっすらと笑みを浮かべながら佇んでいる。その眼はまるで蛇の様に妖しく輝いていた。機体越しに見ているのはZ.A.F.T.の試験部隊。傍らにいるのは『黒い』MSだ。そう、彼もG BREAKの構成員。名を『ベルグ・フロスト』と言う。彼は今まで傭兵として、テロリストとして、二束三文の金を稼ぐためだけに引き金を引き、人間を殺してきた。最初に人を殺したのはいつだったかなど覚えてはいないし、興味も無い。生まれついたときから親が人間を殺す様を見せ付けられていた。親が敵の兵士に止めを刺す時の表情は今となっても覚えている。笑っていた。嘲っていた。嗤っていたのだ。『痛いか?苦しいか?じゃあ楽にしてやるよ』などと口走りながら。親は言った。戦争は快楽だと。殺した数だけ賞賛され、金が手に入る。侵攻した村の女子供を犯し晒し者にしようが誰も反対する者などいない。戦争の空気に呑まれ、狂った者達が踊り狂う。だから戦争は面白いのだと。
だから彼も人間を嬲り、殺し続けた。戦争の空気に取り付かれ幾度も命のやりとりをした。その中で彼は、「クレスタ」に見出された。「GENERATION WORLD」という新たな戦場の中で敵を殺し続ける為に。
「俺の為に死んでもらうぜ、怨むなよ?コイツが「戦争」だ。…行け。」
ベルグの一言と共に、黒いMSの集団は一斉に侵攻を始める。彼は胸を踊らせていた。楽しい戦争が始まる。殺し、殺されたりする愉しい戦争がまた始まるのだと。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん