G Generation Guardian
「ミック!」
『…ところでよぉ、俺ばかり相手にしていて良かったのかぁ? 』
「何を言って…!!」
この瞬間、ハヤトは自分の愚かさを思い知った。今まで頭に血が登り気にも留めていなかったが、自分の後ろには母艦が、何百という仲間がいるのだ。そして自分が対峙している敵も、こいつ一人ではない。
程なくして、巨大な爆発が発生した。MSではない。艦艇が轟沈した時の物である。自分の母艦が今、沈んだのだ。
『こんな所で演習なんざやってるからいけないんだろぉ?元々俺らの機体はステルス性に秀でている。その上狭いデブリ地帯で艦艇が動けないとなれば、馬鹿共に気付かれずに攻撃を加えるのは容易い。さあどうする?コーディネイターのお坊ちゃんよぉ!』
ベルグはハヤトとその機体を蔑む様な眼差しで醜悪な嗤い声を上げる。ハヤトは目の前の男が、その機体が憎くて仕方が無かった。これまでに無いくらいに、他の存在に対し怒りを覚えた。しかし、微かに残った理性が「コイツは俺とは格が違う」と己に対し叫んでいた。こちらが満身創痍なのに対し、男の機体は傷一つ負っていないのだから。敵わないということは最初から分かっていた。
「…けどッ!」
しかし、
「仇が目の前にいて、何もせずに逃げられるかよ!!」
ハヤトは機体を前進させる。今その行動をするというのは、獅子に兎が正面をきって立ち向かう事と同義である。それでも、ハヤトにはやらねばならぬ理由があった。それは彼がひとりの
戦士であり、一人の「男」であるからだ。
「勇ましいねぇ…反吐が出る程になァ!!」
ベルグはアヌビスバエナからビームサーベルを発振。今度こそ切り刻まんと突撃する。ハヤトはカラドボルグでそれを迎え撃つ。二機が再び激突し、つばぜり合いにより周辺には激しい閃光が散りばめられる。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん