G Generation Guardian
自分の護衛を全大戦の英雄と呼ばれた機体が務めるというのは、ハヤト自身からすれば有り得ない様な事である。しかし、これ以上に心強い味方はいないと安心することも出来た。
『では、帰りましょうか。』
「え…この近くに戦艦の反応なんてありませんけど…」
『ですから、「喚ぶ」のです。』
困惑するハヤトに対しその様に言えば、突如として空間に巨大な穴が開き、そこから巨大な船体が顕となった。ビームで形成された巨大な帆や、昔話に登場する様な「海賊船」を思わせるようなその形はハヤトを驚愕させるのには充分であった。
「な…なんなんですか、これ!!こんなの見たことがない…しかも宇宙に穴を開けて出てくるなんて…!」
『これが我々G GUARDIANの旗艦であり今日から貴方の家となる艦…その名も「アルトリウス」。』
「確か聖剣を抜いた王様の名前だっけ…でもこれじゃあ海賊船か幽霊船ですよ。…ちゃんと人間が動かしてますよね…?」
『それは入ってからのお楽しみということにしておきましょう。』
彼が微笑みながらそう言っているのを見ると、ハヤトはいきなり選択肢を間違えたのではいかと思った。聖人の様に思えた彼の笑顔が急に死神の様に見えた。この後絵にも表せないような酷い目に遭わせられるのでは…と疑心暗鬼になりながらも、彼の後ろに付いて巨大な幽霊船に向け機体を前進させた。
幽霊船の目の前まで来ると、向こうのMSハッチが開きガイドビーコンを発光させた。今のハヤトにはそのガイドビーコンの光でさえも人魂の様に見えてくる。機体をハッチの内部に進ませ、ハヤトは格納庫を見渡す。船体が大きく、ハンガー数も多いだろうが、その機体自体はあまりにも少ない。少数の機体で運用されているのか…考えを巡らせながら機体を地に付け、ハンガーに接続させた。各関節も悲鳴を上げ、燃料や推進材も残り少なくなっている。よく保ったと機体に対し感謝をした。
コクピットハッチを開き、機体の外に出ると改めて自分の目で格納庫を見渡した。下には自分の事をもの珍しそうに見ている整備員の姿があった。しかしながら敵意は感じない。この艦において他所者であるハヤトにとってそれは安心出来る状況だった。それにもう一つ安心出来た事がある。この艦を動かしているのはれっきとした人間だという事だ。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん