G Generation Guardian
「フフッ、失礼しました。彼女の部屋番号は216です。入室する際はインターホンを押してあげて下さい。」
「ありがとうございます!じゃあ、行ってきます!」
ハヤトはそう言い残して駆け出して行った。フォックスは彼の背中を心配そうな面持ちで見送っていた。
「(何もトラブルが無ければいいのですが…。ハヤトは少しせっかちな性格をしている様ですしね。)」
「ハァ、ハァ…ここ…だよな?」
ハヤトは息を荒げながら、遂にノエルの部屋の前へとたどり着いた。この艦はその大型さに見合った広さを持ち合わせており、部屋へ移動するだけでも相当に体力を使った。実は艦内には高速に移動出来る通路やエレベーターが存在していたのだが、この艦に来て間もないハヤトはそれを知る訳も無かった。
「(でも、やっぱりいきなり部屋に野郎が訪問して来たら…引くよなぁ…。いや大丈夫だよな?…だって俺はお礼を言いに来ただけで、やましい事は考えていないし…)」
あとはインターホンを押し、彼女と少し話をするだけで済むというのに、変に冷静さを取り戻した彼の理性がそれを邪魔する。このまま引き返してもいいのだが、それでは自分の気が済まないという気持ちもある。様々な思いが彼の頭を駆け巡るが、数分悩んで遂にインターホンを押す事にした。震える人差し指でインターホンを押すと、どこか懐かしさを感じる音が響き渡る。そういえば、個人の部屋にインターホンが付いている艦というのも珍しいのではないか、と今更ながら気が付いた。空間を切り裂いて出現してくる様な艦なのだから、そのくらいは些細な事なのだが。と呑気な事を考えていると、部屋の扉が開いた。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん