G Generation Guardian
降り立った先に待ちかまえていたのは、通信で顔をのぞかせていた老人だ。といっても、下の投影機が映し出す立体映像なのだが。不気味な笑みが何とも気持ちが悪い。
『長旅ご苦労だったの、ネロよ。』
「問題無い。残念ながら貴方もお変わりない様だ。」
合流を果たした事を労う老人に対し、ネロは悪意を凝り固めた皮肉を吐き出す。バツの悪い表情と併せて察するに、ネロと老人には並々ならぬ因縁があるのだろう。
『まぁ、そう言うなネロよ。“この身体”も案外悪くないものでな。…おお、お前さんも済まんかったのう。わしはDr.K。この艦の技術主任じゃ。人間の身体が疎ましくなったものでの、“これ”がわしの今の身体じゃ。』
ヒロトに気がついた老人は自らをDr.Kと名乗り、挨拶を交わす。何か常軌を逸した発言が見受けられる以外は、普通の老人である。
「いえいえ。こちらこそ、そこの頑固者のせいで死にそうになって頂いた所に来て下さり助かりました。私はヒロト・タカヤマ。しがないサラリーマンでありますが、以後御見知り置きを。」
ヒロトはいつもの流暢な口ぶりで自己紹介をこなすと、Dr.Kに向け名刺を差しだす。Dr.Kは投影機からマジックハンドを伸張させ、その名刺を受取った。
『丁寧にすまんのお。頂いて置こう。』
「有難うございます。(まるでSF映画にでも迷い込んだ気分だよ…帰りたい。)」
平静を装うヒロトであるが、この艦が空間を突き破って現れてからというものの、驚愕の連続で頭が痛くなる。こんな馬鹿げた艦が存在する事を「彼」は知っているだろうかと、ふと考えた。
『艦長に話は付けて在る。先ずは艦橋に上がるといいわい。』
Dr.Kはそう二人に言い放つと、格納庫端のエレベーターへと歩を進めた、いや、走行したという表現が正しいのだろうか。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん