G Generation Guardian
「了解。」
ネロは何に疑問を持つ事も無く、彼の後に続く。まるでここにある事の全てを、既に知っている様に。
「仕方ないな…行こう。」
ネロに合わせ、ヒロトもまた歩き出した。
エレベーターに乗り込み十数秒。扉が開くと、ブリッジへ繋がる通路が其処にあった。Dr.Kとネロ、その後ろにヒロトが続き、その通路を歩いて行く。そし最後の扉も解放され、眼の前には艦の脳とも言えるブリッジの光景が広がっていた。細部は異なるが、やはり基本設計はマザー・バンガード級と酷似しているようだ。
「戻ったか、Dr。」
Dr達の存在に気が付いたゼノンは、振り返り声を掛ける。しかし、直ぐにDrの先程の言葉とは違う点がある事に気が付く。
「連れて来る人間は一人では無かったのか?」
ゼノンがその視線を向けていたのはヒロトであった。「話は付けている」と言っていたDrを信用して共に来た彼は当然、驚く。話が違うと。そう言いたげな表情でDr.Kを睨む。
『ああ、こやつのことか。まさかネロに連れがいるとは思わんだでの。…それに、これを置いておく事はわしらに福を齎すぞ。』
「…?」
Dr.Kの発言に、ゼノンは困惑し、言葉を無くす。しかし、ヒロトには一回で、その言葉の意味を理解した。いや、理解してしまったのだ。
「(この爺さん…もしかして、俺の事を知っている…!?じゃあすんなり艦に入れたのは全て解った上でやっていたのか…ぬかった…!!)」
ヒロトは歯を軋ませ、己の危機管理能力の甘さを悔いるが、それは最早後の祭りである。この様な艦を保有し、このようなイカレタ人物がいるこの組織と言うのは碌な物で無いのは確かだろう。明日からまた営業スマイルを振りまきながら仕事に励む事は不可能に近い。ならば、上手く取り入るしか無い。彼は腹を括った。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん