G Generation Guardian
「申し遅れました。…私はヒロト・タカヤマと申します。サナリィでMSを売りさばくしがないサラリーマンをしておりましたが、その商売の中で数々のコネクションを築き上げ、今では副業として情報屋の真似事などしております。…政治、軍、来年のファッション流行まで様々な情報を提供いたしましょう。」
悩みを振り切った人間と言うのは、こうも開き直れる物なのだろうか。この黒々しく輝く青年の姿に、ネロはまた苛立ちを覚えた。しかし、こういう人間が最後まで生き残るのだ。
「ならば…私達がどのような組織であるのかも、想像は付いているのではないか?」
ゼノンは眉を潜め、彼を試すが如く問いを投げる。
「ええ。噂の…、いえ、幻のMS部隊「G GURDIAN」では無いですか?この艦や格納されていたMSを見て見当は付いていました。襲撃されそうになったコロニーを救った、過激派のテロリストを壊滅させた…この世界が誕生してからまだ日が浅いですが、都市伝説の様な噂が横行している。構成員はおろか、行動原理さえも不明。しかし、目撃した誰もが謂った。「彼らこそが本当の英雄」だと。まさかこの様な形で会遇する事にはなりませんでしたが。」
「…少し誇張されている部分もあるが、その通りだ。そして、そこまで畏まる程の存在でも無い。協力してくれるのであれば此方としても助かるが、我々の存在を黙秘し続けるのであれば今までの生活に戻すことも出来る。決定権は君に在る。」
ゼノンは自らの存在を認め、更に話を続ける。Dr.Kが望んで連れて来たネロとは違い、ヒロトは「一応」一般人である。まだ戦いから逃れる事は可能だ。
「…確かに元の生活に戻れるのはいいのですが…私には拘りが一つだけあるのですよ。それは「知る事」。私に知らない、解らない情報が在ると謂うのが赦せない。この歪な世界で、解らない事が在ると謂うのはそれだけで恐怖なのです。此処に居れば、最高峰の性能を誇る戦艦と一級の実力を持った部隊の中で「知り続ける」事が出来る。覚悟はとうに決まりました。改めて、私も力になりましょう。そこの頑固で無愛想な青年よりは、多少は使いやすいかと。」
Dr.Kは大きく、“にやり”と笑みを浮かべる。この上なく満足そうに。ヒロトの様な心に異常性を持つ人間を待ち望んでいたという様に。対して、ゼノンは大きく、一つ溜息をついた。厄介な人材が転がり込んできた物だと。
「よし、ならばネロ・シュテンベル、ヒロト・タカヤマのMS部隊入隊を許可する。各自、奮闘を期待する。…是でいいのだろう、Dr.K。」
『重畳じゃ♪』
「…ちょっと待って下さいよ、俺も戦うんですか?参謀とかじゃなくて!?」
「貴様も自分のMSを持っているだろう。それに自衛するだけの技量もある。充分だ。不安ならば鍛えてやるが?」
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん