G Generation Guardian
「X・夜叉…俺に応えろ!!」
レイは目を見開くと、ガンダムX、いや“ガンダムX・夜叉”は背部に装備された長大な日本刀を引き抜いた。本機は先日での戦いの後修繕と共に改修が進められ、接近戦能力に特化した装備が施された。ガンダムXの戦略兵器「サテライトキャノン」は破損により使用不能となった為、サテライトシステム共々オミットし、ブースターを各部に増設している。機体の身の丈程の長さを誇る日本刀はサテライトキャノンの砲塔を利用した鞘に収納されており、その姿は正に「サムライ」と言った所か。
X・夜叉はブースターを点火し、一気に加速を付ける。
日本刀は担ぐように構え、機体の姿勢は低く保つ。
レイは敵との間合いを見定める。己の五感を、携えた刃に集中する。
「3、2、1……チェエエエエストオオオオオオオ!!!!!!!」
MAとの間合いが詰まった事を確信すると、己の全霊を掛けて日本刀を振り下ろす。
するとどうだろう。MAの装甲は紙の様に容易く縦に切り裂かれ、醜い鉄屑と化した。一撃に全てを掛けて敵を斬るというのは、かつて「示現流」と呼ばれた剣術の流派に通ずるものが在る。破壊力は凄まじいものの、外せば後は死ぬだけ。守りを捨て去った決死の抜刀法と言える。それを実戦で可能としているのは、レイの「勘の良さ」があった。技量を図るのは未熟であるものの、その発達した第六感が彼を幾度も救った。そして今度は、必殺の攻撃としてそれが働いている。
「…やった…!!」
「ちょっと!休んでる場合じゃないっての!!」
喜びに浸るレイに対し、ピーニャがコンソールを指差し警告する。MAが一機、背後から突貫を仕掛けているのだ。
「嘘だろ…ッ!」
レイは我に帰り、反撃に転じようとするが、反応が遅れた為に間に合わない。万事休すか。
「やらせるかよッッ!!」
MAがX・夜叉に衝突する直前、レッドフレームのカレトブルッフがMAを貫いた。MAは機能停止し、レイ達は九死に一生を得た。
『大丈夫だったか?レイ。』
「なんとか…もう油断はしません!ぶっ潰してやります!」
『その意気だぜ!』
ロウはMAからカレトブルッフを引き抜き、再び機体を構え直す。レイもまた日本刀を構え、レッドフレームと背中合わせになった。背中を預ければ、後方の心配をする必要は無い。二機のサムライは、同時にMA群へと斬り掛かる。阻む物を蹴散らし、先へ進むために。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん