G Generation Guardian
《な、なんだッ!!その腕は〜〜ッッ!!!?》
そう宣言して現れたのは、(一方的な)宿敵、ロウ・ギュールである。V.V.が驚愕したのはレッドフレームの変貌ぶりである。今まで至って標準体型であったMSが、いつの間にかビルドアップして帰って来たではないか。深紅の巨大な腕、それを携えるレッドフレームは正にボディビルダーの如し。ロウはV.V.の驚いた様子に満足しながらも、高らかに叫ぶ。
「こいつは強化型のパワーシリンダーを装着した「パワードレッド」、いや…」
《スーパーパワードレッド》だッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
《ス、スーパーパワードレッドだとをぉぉぉおおおお!!!!??????》
「Super」と「Powered」という甘美なる響きを持つ単語を二つも入れ込まれたレッドフレーム、《スーパーパワードレッド》。V.V.の感性に刺激を与えるには十分すぎる程のネーミングだ。
「俺はただ破壊の為にメカを扱う奴が許せねえ!!こいつだって、別の使い道が出来た筈だ!アンタの根性を、俺のジャンク屋魂をかけて叩き直すぜ!!!」
《面白い、ならばやってみろッッ!!!》
グランディーネ・アークは残ったミサイル発射口を展開し、その弾頭の総てをスーパーパワードレッドへと向け放つ。しかしそこで物怖じするロウではない。
「はぁぁあああ…!!ガーベラ・ストレートォ!なます斬り!!!」
迫りくる弾頭の軌道を見切り、ガーベラ・ストレートを抜刀して両断。弾頭は命中することはなくあらぬ所で爆発を起こす。
《こうなれば…!中央部主砲展開!!》
V.V.の掛け声と共に、急速に機体中央部からエネルギーが蓄積される。
《危険!!あれに当たったら一瞬で蒸発するぞ!!!》
「クソ…ッ!!でも俺は、止まれねえ!!!!」
「そのまま進めッッ!!」
ロウの視線の先には、ピクシーとエクシアブレイズの二機の姿があった。
「バリアが無けりゃあこっちのもんだぜ!」
「コイツは殺らせねぇッ!!」
ピクシーとエクシアブレイズはそれぞれビームダガーを発振し、中央部主砲へ投擲。すると、主砲が異常をきたし、閃光の代わりに爆炎を噴出した。
《おのれええええええ!!!!》
「御膳立ては済んだぜ、決めちまいな!!」
「合 点 承 知 !!!!!」
ロウはブレイドの言葉にそう応えると、パワーシリンダーのリミッターを解除し、肩部を展開し、拳を固める。これから打ち出すのは特殊でも何でもない。ただ一発の全力パンチ。
しかしその拳が、過去にも彼の未来を切り拓いた。そして今度も、歪んだ心を打ち砕くためだけに、この一撃を放つ。
《や…やめろ…!ロウ・ギュール!!!》
「やめねえさ…!!これが俺の…!!!!!」
《“超”赤い一撃》だあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
ロウの力強い咆哮と共に放たれた一発の拳。それは大量破壊兵器の様に派手でも無く。特別な殺傷能力があるわけでもない、本当に只の拳である。強いて挙げるとすれば、直撃の瞬間衝撃派が走った事と鐘を全力で打ち付けたような轟音が鳴り響いた事位だ。しかしその一撃はPS装甲を無視し、内部の制御機器を完膚無きまでに破壊してゆく。
《武装が使用不能!?制御装置…モニターも動かん!!!ああ、遠隔操作装》
ここまででV.V.の音声は途切れ、グランディーネ・アークは四肢を維持する力を無くし、完全に沈黙。そこから再起動することは無かった。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん