G Generation Guardian
何故だ…
「グッ…コイツ…強すぎるぁああああああああ!!!」
弱い…
「や、やめてくれええええ!!!!!!」
脆弱だ…!!
「糞がああああああああ!!!!!」
何故其処迄に弱い!その弱さで…
「剣を持とうとするなああああああ!!!!!!!」
十数機はいたであろう守備隊のMSが次々とたった一機のMSによって殲滅されていく。その内の只の一機も、そのMSに損傷さえも与える事が出来なかった。自分が斬り伏せた機体の残骸を踏みしめ、その眼を怪しく輝かせる。
「俺の宿敵は何処に居る…?」
「クソ…頭から嫌な感じが離れないっ…!」
少年も既に艦に戻り、自分の機体に搭乗して戦場に降り立っていた。彼が乗るのは「ガンダムX」。15年前の戦争を最悪の形で終了させた、事実上の最終兵器である。この世界に降り立つ少し前、連邦軍の基地の残骸から発見され、自分が搭乗者として登録されたためにそれ以来彼の乗機となっている。彼の機体は実体剣を装備。各部にスラスターが設けられており、それを使った接近戦が、彼が得意とする戦い方である。
少年は出撃して以降、「嫌な気分」に囚われていた。苦痛、憤怒、悲しみが自分の中に流れ込んで来る様で、これまでにない不快感が彼を襲っていたのだ。
「このままじゃ駄目なんだ…駄目なんだよ!!」
少年は何かに突き動かされるように操縦桿を動かし、機体を向かわせる。自分の中にある黒いものを、掻き消すために。
「…ここか?」
少年は憎悪や悲しみが大きくなる所をひたすらに突き進み、市があった所とは少し離れた荒野に辿りついた。そういえば、この辺りには増援に備えていくらかMSが出て言った筈だ、と出撃前に訊いた情報を思い起こしながら辺りを見回す。黒いMSとこちらのMSの残骸が自分の道を埋め尽くしていた。互いのコクピットを突き刺し、共に倒れている様は壮絶な戦いの後を思わせる。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん