G Generation Guardian
ロウは彼女に謝罪をしつつなだめようとするが、少女…樹里は一向に泣きやもうとしない。余程ロウの事が心配だったのかも知れない。周りの群集も「ご馳走様」と言いたげな表情で二人を見ていたり、好き勝手にはやし立てたりと余計に面倒な事になってしまった。ロウは思った。今度からこいつ≪樹里≫にちゃんと許可を貰って戦いに出よう、と。
「久しぶりに疲れちまった、酒が呑みてえ…」
狭いMSのコクピットから解放され、屈強な体躯に似合わぬ細々とした声で呟きながら、ブレイドは機体を後にする。群がる群集には眼もくれず、ひたすら艦の外へと歩き出していた。
「あっちには行かへんのか?…今やったらある程度の「ワガママ」やったら聞いてくれそうやけど。」
そんなブレイドを見て、遅れて機体から降り立ったセンナが声を掛ける。ブレイド自身は独り言のつもりで言ったつもりであったが、センナは大変良い耳でそれも捉えていたらしい。意地悪そうに微笑む表情ですぐにわかる。ブレイドは少々苛立ちを覚えたが、構わずに歩みを進めた。
「「ヒーロー」はガラじゃねえんだよ。好きに闘って、好きに呑んで、好きに寝る。それが俺のやり方だ。」
「それって子供やん。…アンタ今年で幾つよ?」
「俺はまだ自分で大人だと思った事はねえ。まだ餓鬼だ。…あん時から、同じだ。」
ブレイドは何かを思い起こしたのか、表情を更に厳しいものにした。背中を追っていたため、センナは表情こそ見えなかったが、言動と声色で、彼がどう思っているのかは理解出来たため、それからは何も言わなかった。もう少し歩き、艦の外に出ると、一人だけ座り込みたたずんでいる姿が確認出来た。市で案内役を務めた性的趣向に異常が見られる少年である。少なくとも、センナとブレイドはそう認識していた。しかし、このまま声を掛けないのも無愛想かと、挨拶代わりに言葉を掛けることにした。
「坊主、そこで何やってんだ?」
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん