G Generation Guardian
二話・「死を告げる天使」
ブレイド達がこの世界の地球に降り立った頃、宇宙でも、新たにこの世界に「招かれた」ガンダムがあった。「光の扉」から現れた、美しき天使の様な容貌と相反するかの様に塗装された漆黒。その姿を例えるならば、自らの純白を汚し漆黒に染め上げた―――「堕天使」というのが相応しいだろう。それを操る者もまた、端正な面持ちをした青年であった。
「現在地座標を確認―――。不明、だと?半信半疑ではいたが…「あの男」の謂う通りになったという事か。」
青年は特に焦燥の様子を見せること無く機体の状況を確認する。機体のOSが落ちているものの、特に損傷などは見当たらない。淡々と眼の前の作業を終わらせていくそれは、まるで彼が一切の感情を持たぬ精密機械であるように錯覚させた。
「位置情報を更新。作戦内容を参照―――――“ネロ・シュテンベル”、GENERATION WORLD内での作戦行動を開始する。」
コードネーム・ネロ・シュテンベルを名乗る青年はコンソールパネルを確認し、停止していた機体システムを直ちに起動させる。すると、機体の頭部に火が灯り、鮮血の様に紅いカメラアイが確認出来るようになる。連邦軍、統合軍その他武装勢力に感知されていない事を確認した。「あの男」がこの機体に搭載したステルス機能が活かされているという事だろう。そしてネロは操縦桿を握り、スラスターを点火。その堕天使を宇宙に羽ばたかせた。
数時間程飛行しただろうか。何も無い宇宙をひたすらに突き進む。極力衛星などに感知されないように行動しているので尚更か。推進剤の残量を確認――――流石に減少してきているが、問題にする程ではない。「目的地」には程なくして到着する予定だ。レーダー上では既に捉えている。後は目標に「接触」するのみである。
「これより「目標」との接触を試みる。ステルス機能、解除。」
コンソールパネルを操作し、自らの姿を消し去るステルス装備を解除する。敢えて目標に感知される為だ。
「解除確認。続いて脚部内蔵起爆装置、発火。」
続いて行ったのは右脚部装甲の爆破である。これは事故に遭い機体が損傷したと誤認させる為である。この様な偽装で欺かれる目標はいないだろうが…と思案しつつ目標に接近する。
さて、ネロの言う目標、とは…。
「最後だ。救難信号、点火。」
最後に、目標の方に発見させる為に救難信号を発火させた。赤、青、黄のまばゆい三原色が暗黒のキャンパスを華麗に彩る。すると、早くも幾つかの機影がレーダーに映し出され、直に目視できるようになった。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん